日刊スポーツの随時企画「虎を深掘り。」の第20回は、15日ヤクルト戦(甲子園)でみせた大山悠輔内野手(29)の好判断にスポットを当てました。無死一塁から一ゴロをさばき、回転しながら二塁封殺。走者が見えていない状況で二塁に送球できた裏側には「攻めの姿勢」や過去の教訓、自身の感覚がありました。【取材・構成=波部俊之介、中野椋】
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大山は迷いなく判断した。15日ヤクルト戦(甲子園)、1点リードの5回無死一塁。8番内山がバットを止めかけると、当たった打球が自身のもとに転がった。まずはチャージをかけて捕球。クルリと左向きに半回転すると、そのまま二塁に送球してフォースアウトに仕留めた。少しでも遅れていればセーフのタイミング。一瞬の判断でピンチ拡大を防いだ。
このとき大山からは一塁走者の位置が見えていない。進塁具合が分からない中でなぜ二塁に送球できたのか。大前提に置く意識はこうだ。「来た瞬間にセカンドを狙いに行っているので」。ロスのない動きで送球に移ることができなければ一瞬の迷いで結果が変わる。このケースの基本スタンスは「攻めの姿勢」。藤本内野守備走塁コーチも「大事に行ってセカンドどうしようと思っている時点でダメだから」と説明した。
ただ、時には引くことも重要になる。藤本コーチは「二塁に投げる動作までいって、結局やめてファーストもアリ」とも話していた。
象徴的な場面となったのが11日DeNA戦(甲子園)だ。3回無死一塁の場面で9番ジャクソンの犠打は一塁方向に転がった。大山は二塁を狙って送球。しかしボールの握り替えがうまくいかず、遊撃方向にたたきつけるような形で悪送球となった。プレー後には大山と藤本コーチで話し合いを行った。得た教訓は「やめる勇気を持てれば」ということ。同戦でもピンチが広がり、結果的に2失点。撤退の勇気が時には必要となる。
結果次第で命取りにもなる難しい判断。走者の足や試合展開なども頭に入れなければいけない要素だろう。セオリーや考え方はあるが最も大切にするのは自分自身。大山は「やっている人にしか分からない感覚があるので」と語る。
捕球の瞬間は走者と同様、二塁の位置も見えない。打球の強弱で捕球する位置も異なり、感覚的にベースの位置を把握する必要がある。ダイヤモンドの空間を把握し、打球の強さや走者の足との兼ね合い。すべてがかみ合って取れるアウトだ。藤本コーチは「内野手は自分の中の体内時計というか、このタイミングならセカンドに間に合うなという時間。そういうのが体に染みついているから」と代弁する。
大山が一塁に固定されたのは昨季から。今春キャンプでも40分以上の特守を行うなど、守備と向き合ってきた。経験を重ねて得られるプロの肌感覚。シーズン残り10試合、細やかなプロの技は逆転Vへの重要な要素になる。



