最後までフルスイングを貫いた。引退試合に「4番一塁」で出場した中日中田翔内野手(36)の最後の打席は1回2死一塁で回ってきた。ヤクルト吉村の前に3球三振。すべて直球勝負で、最後は右膝を地面に着くほどの豪快なスイングで147キロ真ん中直球を空振りした。悔いはなかった。
中田 最後、本当に納得いくスイングができた。気持ちのいい打席。野球を大好きな形でやめられる。
2回表も守備に就き、1死一塁になったところでお役御免。「18年間、幸せでした」。背番号「6」のボードを掲げた超満員のファンから大歓声を浴び、笑顔でグラウンドを後にした。 セレモニーでは日本ハム時代から使う登場曲「My HERO」をビーグルクルーYASSが生で熱唱。大島と涌井、子どもたちから花束をもらうと、こらえていた涙があふれ出た。
中田 ひとつ心残りはドラゴンズの力になれなかったこと。このチーム、メンバーで優勝したかった。
出番を求めて巨人から移籍したが、腰の故障もあって苦境続きの2年間。最愛の家族に感謝を伝えたかった。「おかん、今までいろんなことがあったけどずっと俺の味方でいてくれてありがとう。いつもいつも、おかんに背中を押してもらったのを覚えています。家族のみんな、つらくて心が折れそうな時も家に帰ると子どもたちの笑顔、嫁の優しさに救われました」。
井上監督からは9月30日からの今季最終巨人2連戦(東京ドーム)で打席に立つことを提案された。だが、中田は「今日バンテリンで締めくくりたかった」と固辞。同行してファンや巨人ナインへのあいさつのみにとどめる。最後はナインの手で背番号と同じ6度、宙を舞った。プロ18年で通算309本塁打を放ち、愛称は「大将」。一時代を築いたスラッガーがユニホームを脱いだ。【石橋隆雄】
○…中田の引退セレモニーでパドレスのダルビッシュからのビデオメッセージも流れた。「すごくすり減っていることでしょう。ご家族とゆっくり休んで。話したいことがたくさんあります」とねぎらわれた。中田は「ダルさんからあると思わなかった。(日本ハムでの)現役時代、一番お世話になった。本当にありがたい」と感謝。「翔平(大谷)からないのがちょっとおかしいな」と笑わせた。巨人、日本ハムナインからのメッセージも届き、サプライズで駆けつけた日本ハムの栗山CBO、稲葉2軍監督からも熱く抱擁された。
○…バンテリンドームの通路は中田に贈られた139もの花で埋まった。メジャーリーガー、OB、日本ハム、巨人を中心とした12球団の選手や関係者の名前がずらり。中田は「すごいよね。ありがたい。うれしい」とひとつひとつ喜んだ。元日本ハムの杉谷拳士氏(34)は「18年間お疲れさまでした。いつまでも大将でいてください」とメッセージ。巨人時代に自主トレをともにしたソフトバンク秋広優人内野手(23)は真っ赤なバラの花束を贈り、「パパへ これからは僕がご飯おごります」と添えた。中田は「ふざけとるな」と笑いながら感謝していた。



