ソフトバンク王貞治球団会長(85)が6月に死去した故長嶋茂雄名誉監督(享年89)に「お別れの言葉」を述べた。
祭壇の前に立ち、最初にゆっくりと言葉を紡いだ。「長嶋さん、お元気ですか。
この言葉が、不謹慎であることは十分承知しています。この長嶋さんの笑顔を見て、他に言葉はありません。長い間一緒にプレーをさせていただき、素晴らしい思い出をたくさんつくっていただきました。その長嶋さんと今日こういう形でお別れするのは辛いことです。でも我々の心の中には明るい太陽のような長嶋さんが生き続けてくれていると確信しています。
昭和33年に巨人軍に入団して、1年目からHR王と打点王を取られて、ファンの期待に十分応えられて。
常に攻撃的な打撃。華麗な守備。さっそうとした走塁。すべての面で常にみんなの目を引きつけてくれました。一緒に16年間プレーさせていただきましたが、華やかな姿、グラウンドでの素晴らしいプレー。でも我々は影での長嶋さんの苦労を十分にしっております。なにもなくあれだけのことができるわけがありません。長嶋さんが日夜野球に没頭して頑張られていたことを知っている我々としては、本当に野球人とはどうあるべきかということを教えていただきました。私は17年間一緒にプレーをさせていただき、常にそばでプレーをさせていただきました。私ほど幸せな男はいないと、心の中で強く思っています。
多くのみなさんに慕われ、憧れ、本当に太陽のような人でした。人間って常にあんなに明るくいられるものなのかと。打てない、勝てないっていうことで、勝ち負けにこだわった我々の世界でしたが、長嶋さんは常にファンの人がどう思うか、ことを考えてプレーしていたと聞いて、ああこの人にはかなわないと思いました。選手としてはもちろん、監督としてまた指導者として、背広姿で日本中のファンの人を喜ばせていました。本当に特別な存在でした。長嶋さんがいたから今のプロ野球の隆盛はあるんだと思います。
我々は力を合わせて、長嶋さんが盛り上げてくれた野球を長く明るく育て上げていきたいと。我々の使命と考えています。どうぞ我々の取り組みを見守っていただきたいとそのように思います。
長嶋さんは引退の時に『巨人軍は永久に不滅です』と名言をいっていただきましたが、今、私はここでこの笑顔の長嶋さんの写真を見て。『長嶋さんは永久です』。多くのみなさんが思っている思いを代表してお伝えして、私からのお別れの言葉とさせていただきます。どうぞいつまでも、私たちの心の中に生き続けてください。長嶋さん、ありがとうございました(全文)」と思いを述べた。
長嶋氏と王会長は「ON砲」として巨人黄金期を築き、65~73年の日本シリーズ9連覇を支えた。
21年の東京五輪では松井秀喜氏(50)含めた3人で開会式の聖火ランナーも担った。
6月8日の告別式では弔辞を読み上げ、「あなたへの弔辞を読む日がこんなに早く来るとは思ってもいませんでした。あなたは日本の健康優良児でした。存在そのものが、日本人の誇りでした」と語りかけていた。
6月26日には長嶋氏の死去を受けて王氏は「国民的ヒーローが次々誕生するような環境と基盤を作らなければならない」と野球振興の発展を目的とした「球心会」の設立を発表。
11月13日には日本野球機構(NPB)が「長嶋茂雄賞」の創設を発表。王氏は「待ちに待った賞。長嶋さんはプレーだけでなく、その存在感や言葉で一年中ファンを魅了した。まさに“野球そのもの”の象徴」と語り、「打者に対する賞がようやく生まれた。ファンも選手も待ちに待った賞だと思う」と語っていた。



