富士大のエース角田楓斗投手(4年=東奥義塾)の生命線である150キロ超の直球は、大学4年間の努力の結晶だった。

松山大との1回戦に先発し7回14奪三振2失点、6回まで無安打に抑え込んだ。

今でこそ最速153キロ、この日も152キロを計測した超目玉右腕だが、青森・東奥義塾高時代は全国的には無名の存在だった。「高校の時は全然プロで通用すると思わなかった。大学で鍛え直して、ドラフト1位で行けるように」と決意して富士大の門を叩いた。入学時の体重は73キロ。そこから安田慎太郎監督(42)が「トレーニングに尽きる」と称える肉体改造が始まった。

「高校の時は体が細かったのでウェイトを重点的にやった。1日の生活を野球に重きを置いて、食事の栄養バランスや最低8時間の睡眠を徹底した」。私生活のすべてを注ぎ込み、体重は13キロ増の85キロへ。さらに、真上から投げ下ろしていた腕の振りを「変化球の球種を増やすため」にあえて下げるフォーム改造に取り組んだ。この肉体改造とフォームの試行錯誤が、終盤7回でも150キロを計測するスタミナと、右打者の外角へ出し入れできるカットボール、質の高い直球を生み出した。「少ない力で強い球を投げることができるようになった」と話した。

この日は4四死球を出した。「マウンドの柔らかさによる絶妙な誤差があった」と反省を口にしたが、ランナーを背負った場面こそ「楽しめるタイプ」と不敵に笑う。ピンチでギアを上げ、狙って三振を奪う姿は圧巻だった。「三振は味方のエラーも引き出すことがない、チームにとって安全な結果。だからいつも狙っている」と頼もしく話した。

プロへ進んだ偉大な先輩たちの背中を追い、「みちのくのドクターK」へと成長した。安田監督は「ドラフト1位で行ってほしいですね」と目を細めた。右腕の“進化”は止まらない。【鳥谷越直子】

◆角田楓斗(かくた・ふうと)04年9月23日、青森県弘前市出身。野球は小学3年から。弘前一中-東奥義塾-富士大。大学では2年秋から背番号1。3年春のリーグ戦で19奪三振のリーグタイ記録をマーク。家族は父、母、弟。178センチ、85キロ。右投げ左打ち。

◆スカウトコメント

日本ハム山田スカウト顧問「則本(巨人)タイプ。球は速いし、スライダーのコントロールもいい」

広島高山チーフスカウト「手元での伸びと切れが素晴らしい。直球の球持ちがいい。即戦力に近い」

カージナルス大慈弥スカウト「真っ直ぐの質がいい。もちろんドラフト1位で消えるでしょう」

ロッテ高橋編成管理部長「カットボールがいい。右打者の外角に投げ分けられる大学生はなかなかいない。間違いなく上位候補」