侍ジャパンの初陣を、大谷翔平投手(28)が期待通りの二刀流で飾った。

「カーネクストWBC東京プール」の中国戦に「3番DH兼投手」で出場し、4回を1安打無失点、5奪三振。打席でも4打数2安打2打点と投打でフル活躍し、8-1の白星発進に貢献した。1次ラウンドは球数制限65球があり、49球で交代。「大谷ルール」が適用され、DHで出場を続け、4回の2点適時打などで自らを援護した。WBCの開幕戦、3大会ぶりの世界一奪回への道を、二刀流が自ら切り開いた。

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二刀流が笑い、ポーズを決め、超満員の視線をさらった。開幕戦の主役はやっぱり、大谷だった。最速160キロの直球にどよめく東京ドーム。2回、球速を上げたスライダーで3つめの三振を奪うと、大谷は出迎えた仲間にウインクした。3回、中堅手ヌートバーのスーパーキャッチにバンザイ。右拳を握った。「全員で勝つことができて、素晴らしいゲームだった」。快投を演じ、波に乗った。

打者では突破口を開いた。「なかなか1本出なくて少し重い空気だった」。残塁が多かった中、4回1死一、三塁から左中間フェンス直撃の2点適時二塁打。「もうちょっとでホームラン。もうひと伸びできれば」と苦笑いだったが、「ペッパーミル・パフォーマンス」を決め、もり立てた。緊張感のある国際大会で格下相手に序盤は苦戦。だが、投手で踏ん張り、打者で流れを引き寄せた。まさに大谷にしかできない離れ業が、大舞台で発揮された。

いまや最強の二刀流は、信頼され、奮い立つたびに強くなった。故障を重ね、投打でどん底だったシーズンも経験した。今でこそ「僕は常に楽しいですよ」と笑うが、ずっと表情がさえない“暗黒期”もあった。「もちろん、落ち込むことはあります」。期待に応えられなかったことで「ふがいない」と自分も責めた。悩んでも、前例がない。その時々で自分を信じるしかない。だからこそ“後押し”も不可欠だった。栗山監督は選手について「信じてます」と繰り返し、常に信頼を伝える。大谷についても同じ。それが、二刀流を貫く原動力にもなった。

ファンの声援も力になった。喜んでいる姿が見たい一心で、ここまで二刀流ロードを駆け抜けてきた。この日も4万1616人の大歓声を浴び、「夜遅くまで、最後まで残っていただいて感謝していますし、ただ、まだまだ足りないので、もっともっと大きい声援をお願いします」と笑った。

8回には先頭で右前打を放ち、打者一巡、4得点の口火を切った。2死満塁、3点入ればコールド勝ちの状況で再び打席に立つと、スタンドからホームランコールが沸き起こった。中飛に倒れたが「最後の方に打線もつながって、何とか勝つことができたので、また明日以降頑張りたい」。過去最強メンバーとも評される侍の集団。その中心に大谷がいる。【斎藤庸裕】

▽湯浅(3点リードの8回に3番手で登板し、3者連続の空振り三振斬り)「緊張感はありましたけど、自分のピッチングができたかなと思う。三振を狙いにいった中で取れたので、ホッとしています。しっかり世界一に貢献できるように頑張ります」