女子ゴルフ界で、黄金世代の代表格として活躍する勝みなみ(21=明治安田生命)は、大のプロレスファンだ。今年1月、新日本プロレスの東京ドーム大会を観戦し、その魅力に取りつかれた。同じアスリートとして、プロレスに元気をもらっているという勝に、その魅力を聞いた。

飯伏幸太から贈られたサインを手に笑顔を見せる勝みなみ(撮影・前岡正明)
飯伏幸太から贈られたサインを手に笑顔を見せる勝みなみ(撮影・前岡正明)

勝は今季2勝を挙げた期待の若手。1998年(平10)生まれで、AIG全英女子オープン優勝の渋野日向子や、先日の日本女子オープンを制した畑岡奈紗らと並ぶ黄金世代の代表選手だ。その勝が、初めてプロレスを見たのが、今年1月4日に開催された新日本プロレスの東京ドーム大会だった。

「2つ下のいとこと母が大好きで、私はまったく興味がなかったんです。最初は、あんなに人のことをたたいたりして、怖い印象しかなかった。観戦も乗り気じゃなかったんです。でも、実際に見てみると、この競技はすごいなと思いました。体の大きな人たちが全身を使って戦う激しさと、そのパフォーマンス。入場シーンの衣装や、その選手に合ったBGMに引き込まれて。いっぺんにファンになりました」

その後、今季の開幕戦となったダイキンオーキッド・レディース(沖縄)の前に、たまたま沖縄で開催された新日本の沖縄大会を観戦。さらにその魅力に取りつかれた。

「こけしと呼ばれる本間朋晃さんの、復帰戦だったんです。首のケガで危険な状態だったのに、リングに戻ってきたということで、お客さんの歓声とかすごかったんです。私はゴルフしかやったことがないですけど、ギャラリーになったら、こんな気持ちなんだと実感しました。プロレス会場では、応援するというより、選手のことを見守っている感じで」

プロレスを見ているうちに、それぞれの選手にドラマがあって、ファンが応援しながら選手から勇気や元気をもらっていることを感じるようになったという。

8月、G1クライマックスで優勝した飯伏幸太
8月、G1クライマックスで優勝した飯伏幸太

「ゴルフをやっていて、練習しても自分の思うようにいかない時期もある。それでも、あきらめずにやったからこそ、上にいけるということを、G1クライマックスで優勝した飯伏幸太選手に教えられました。私もあきらめずに頑張ろうと思いました」

飯伏とは同じ鹿児島出身で大ファンになった。その飯伏からツイッターやインスタグラムをフォローされ、互いに刺激し合っているという。

「プロレスをまだ見にいっていない人は、最初は私みたいに、怖かったり、興味がなかったりかもしれないけど、全身でぶつかり合うことを通して、いろんなことを選手たちが伝えてくれるので、ぜひ1回見にいってほしいです」【取材・構成=桝田朗】

◆勝(かつ)みなみ 1998年(平10)7月1日、鹿児島県生まれ。8歳でゴルフを始め、17年7月にプロテスト合格。14年4月のKKT杯バンテリン・レディースで15歳293日の史上最年少のアマチュア優勝を達成。プロ本格参戦の18年大王製紙エリエール・レディースでプロ初優勝を飾るなど通算3勝。157センチ。