WWE日本公演で乱入し、サモア・ジョーに松葉づえで襲いかかる中邑真輔(2018年6月30日撮影)
WWE日本公演で乱入し、サモア・ジョーに松葉づえで襲いかかる中邑真輔(2018年6月30日撮影)

11カ月前とは、違っていた。6月28、29日に迫ったWWE東京公演(両国国技館)のPRのため、スマックダウン所属の元US王者中邑真輔(39)が一時帰国。26日に都内のホテルで日本メディアの取材に応じた。

4月に日清食品のCM撮影で帰国しており、開口一番に「今年、もう2回も帰国して家族からブーイングですよ。かむかむレモンのぶどう味を買ってってこいと。なぜにレモンなのにぶどう味みたいな(本当の商品名はかむかむ巨峰)」と笑わせた。

前回の帰国取材は昨年6月28日。WWE東京公演当日朝だった。その3日前の25日、米ベイカーズフィールド大会前、警察犬にかまれるアクシデントに見舞われ、ハウスショーとテレビ収録大会を欠場。当時は松葉づえ姿で帰国した。ドクターストップで東京公演は試合できなかったものの、リングに上がってサモア・ジョーやAJスタイルズらと絡み、日本のファンを満足させた。日本メディアの取材を受けたのも、中邑のプロ魂だった。当時はアクシデントの詳細は語らず、かまれた部分も足以外は最後まで口にしなかった。「らしくない」ピリピリ感に事態の深刻さを感じていたが、やはりその通りだった。今回の取材で、中邑は明かした。

「大変でしたよ。犬の件では。真剣ですよ。みます?」。そういって左足首裏などに刻まれた犬にかまれた傷痕をみせた。「この件も解決しました。ようやく。最近ですけれど」。

“訴訟の国”とも言われる米国。負傷の治療代をはじめ、今後の保障の問題など解決には相当な時間がかかった模様だ。「あれ以来、本当にジャーマンシェパードが怖くなちゃって。空港によくいるんですよ。なかなかの大きさなので。大人3人がかりでようやく口を開きましたからね」。

すべてが解決し、もう元通りの中邑に戻っていた。

「直前に今度は猫にでもかまれようかなあ」。

17年5月、NXTからスマックダウンに昇格してから初めて両国国技館で試合に臨む。第1日の28日にはユニバーサル王者セス・ロリンズに挑戦。29日の第2日にはWWE傘下のNXT時代にNXT王座を争ったロバート・ルードとのシングル戦が組まれた。

「両国はホームみたいなもの。楽しみでしようがないですね。控室でてっぽう柱を突いてから試合に出ますから」

実に2年ぶりとなる中邑の日本凱旋(がいせん)公演での試合に胸を躍らせていた。元通りに戻った「黒いアーティスト」が久しぶりにホーム両国国技館で王座に挑戦する。中邑だけでなく、こちらも楽しみでしようがない。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

6月のWWE東京公演に向けての意気込みを語る中邑真輔
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