相撲観戦も“新様式”が求められている。今場所は館内での飲食が奨励されていない。開場時間は普段より5時間遅い午後1時で、観客が昼食を終えた時間を見越している。横綱、大関の力士弁当は販売されず、食べ物は焼き鳥のみ。焼き鳥は通常1日あたり約6万本作るが、今場所は同3000~4000本と1割以下にとどまっている。アルコールの販売は禁止。観客同士で飲食しながら楽しむ今までの観戦スタイルは、当分できそうにない。

売店のグッズ巡りも寂しさが残る。今場所の新商品はゼロ。国技館内の販売を手がける「国技館サービス」の担当者も、10日目を終えた時点で来場所以降の課題として「グッズの少なさが一番」としている。観客を入れての今場所開催が決定したのは初日の6日前。在庫リスクを懸念して、新商品の販売を委託してくる外注先がなかったためだ。

一方で力士名が書かれたタオルが、オンラインでの販売を通じて売れ行き好調だ。「感覚的には普段の4、5割は多い。自宅のテレビ観戦でタオルを掲げる需要がある」。人気はぶっちぎりで新大関の朝乃山。お茶の間から新しいかたちで声援が送られている。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)