角界にいながら数年にわたり、英語力アップに努めている裏方がいる。世話人の勇輝(36=音羽山)は、現役の時からずっと英会話の勉強を続けている。
両国国技館に最も近い陸奥部屋に所属していた時のこと。「相撲博物館からも一番近い部屋なので、外国人が中まで入ってくることもあるんです。でも、みんな英語をしゃべれないので、以前は何かを聞かれても『NO、NO、NO』と言ってるだけになってしまうこともありました。それじゃああんまりだと思ったので、何かコミュニケーションを取れたらと思っていました」。
勇輝は中学卒業後に角界入りしたが、もともと英語には興味があった。「相撲の説明を英語でできたらいいな」と思い立ち、勉強を始めた。今はスマホのアプリ「Duolingo」を使うほか、妻からも教えてもらう。上智大学法学部出身の妻は留学経験があり、東京五輪組織委員会でも働いていた。勉強を続けていくうちに、勇輝はいずれTOEICも受けてみたいと思えるほどになった。
世話人の仕事は雑務全般。本場所中は、外国人客に応対する場面も多い。「(テニスの)ウィンブルドンに出ていた人が相撲を見に来たこともあります。道案内をしながら話すと、有名人だったことが分かることもあります。アメフトの選手が来たこともありました。チケット担当の親方衆も元力士だと説明すると喜んでもらえます」と勇輝。もともと弓取りも相撲甚句も作詞もこなすほど、器用で好奇心旺盛な人。あらゆる面で角界を支えている。【佐々木一郎】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)
◆勇輝瞬臣(ゆうき・しゅんじ)本名・山崎勇大。1989年(平成元年)9月7日生まれ、宮崎市出身。中学卒業時に陸奥部屋に入門し、2005年春場所初土俵。最高位は幕下20枚目。2024年春場所限りで引退。世話人として採用された。同年4月に陸奥部屋の閉鎖に伴い、音羽山部屋に転籍となった。


