兄弟げんかに杜(もり)の都が熱狂した。宮城県角田市出身の双子レスラー斉藤ジュン(37)、斉藤レイ(37)の「SAITO BROTHERS(斉藤ブラザーズ)」が3日、「チャンピオン・カーニバル2024」のメインイベントBブロック公式戦30分一本勝負で対戦。23分50秒、レイがアイスバイン(のど元へ掌打を放ちマットにたたきつける技)を決め、ジュンとの兄弟げんかで生涯初勝利をつかみ取った。

壮絶な我慢比べを制した。弟レイが場外で兄ジュンを振り回せば、ジュンもレイを客席まで引きずり回し、ファンの持っていたタオルで首を絞めるなど仕返しした。リングに戻ってからも激しい技の応酬が続いた。終盤にはエルボー、頭突き、ラリアットを打ち合い、最後はレイのアイスバインで勝負あった。

三度目の正直で、兄を超えた。2人のプロレスでの対戦成績はレイの2戦2敗。デビュー当初に東京・大田区で1度、去年の大みそかに代々木で1度対戦し、どちらも負けた。プロレスだけでなく、これまで何度も繰り広げた実際の兄弟げんかでも、勝ったことはなかった。

大会前「シングルでも俺のほうが強いと示したい」と意気込むレイをからかうように、兄ジュンは「兄よりすぐれた弟はいないと思っている」と語った。これは、名作漫画「北斗の拳」に出てくる北斗4兄弟の三男ジャギが口にした「兄よりすぐれた弟なぞ存在しねえ!」という言葉になぞらえたものだ。作中で、ジャギは末っ子の主人公ケンシロウに倒されてしまう。ジャギ同様、弟に敗れた兄ジュンは、コーナーにもたれ放心状態。そんな兄の前で、弟レイは大好物のビールをがぶ飲みし、勝利の美酒に酔った。

これでレイの勝ち点は「8」となり、兄ジュン、安斉勇馬(24)、諏訪魔(47)と並び、同ブロックで首位タイ。弟レイは「これで勝ち点8だ!チャンピオン・カーニバルはまだまだ終わっちゃいねえ。明日、必ず決勝に望みをつなげてやる! 残り全勝してやる! 楽しみにしてろ!フォー!」と意気揚々。兄を倒した勢いのままチャンピオン・カーニバルで優勝し、次は王者として地元宮城に凱旋(がいせん)する。【濱本神威】