ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)が3つの「最多」記録更新を狙い、元世界王者との防衛戦に臨む。
3日、東京・有明アリーナでWBO世界同級2位TJ・ドヘニー(37=アイルランド)の挑戦を受ける。2日には横浜市内で前日計量に臨み、両者ともに1発クリア。井上は試合当日に10キロ以上増量するとされる挑戦者をけん制しながら万全の調整を強調した。世界戦の通算勝利数で現役最多と日本人最多の23勝、自身の持つ日本人の世界戦連続KO記録の更新を狙う。 油断も隙も感じさせないオーラが漂った。リミット(55・3キロ)で計量パスした井上が、200グラム少ない55・1キロでクリアしたドヘニーと火花を散らした。約21秒間のフェースオフ(にらみ合い)。挑戦者が1歩近づけば、視線をそらさず1歩踏み込んだ。求められた握手を交わし、肩をたたかれ、軽く頭をなでられたものの、表情を変えることはなかった。
ドヘニーの意気込みを視線で受け取っていた。「フレンドリーですが、気合はものすごく感じた。気を引き締め、いつも以上に集中していかないといけない」とうなずいた。自らも8月30日に本格的な調整を終えたが、計量前日の1日もジムでコンディションを確認し「仕上がりはばっちり」と自信に満ちあふれた。
左強打を武器とするドヘニーは大幅増量でも有名だ。昨年10月のジャフェスリー・ラミド(米国)戦では前日計量パス後、約12キロ増量していた過去もある。計量パス時に挑戦者の肉体を確認すると「だいぶ水を抜いていたからこそ10キロぐらいのリカバリーがある。ただ自分を相手に10キロ以上も戻したら『ボクシングできないぞ』というところを見せたい。ボクシングは体重があるだけでいいというものではないと思っている」と軽くけん制した。
勝てば世界戦通算勝利数で2つの最多記録に到達する。日本人では井岡一翔(志成)と22勝でトップに並んでおり、23勝に伸ばせば単独1位になる。歴代の世界王者の中でも元3団体統一ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と並ぶ現役最多だ。KO勝利すれば自らが持つ日本人トップの世界戦連続KO記録の「8」を抜いて「9」に更新する。「現状維持では止まる。何かを変えるべきだし考えながらやっている」と進化を続ける調整に自信をみせた。
現在、世界でただ1人となる現役の4団体統一王者だ。ヘビー級のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)、スーパーミドル級のサウル・アルバレス(メキシコ)、ウエルター級のテレンス・クロフォード(米国)が指名試合の期限を理由にベルトを手放した。2日前の会見で井上は言った。
「4団体の防衛戦ができることに誇りに持ち、必ず自分が納得する試合をこなしていきたい」
統一王者のプライドをリングで証明する。【藤中栄二】
◆井上が狙う「最多」メモ ドヘニー戦でKO勝利すれば、自らがWBO世界スーパーフライ級王者からWBA、IBF世界バンタム級王者の時にマークした8連続という日本人トップの世界戦連続KO記録を9連続で抜く。勝利のみでも世界戦通算勝利の最多記録が更新。日本人では元世界4階級制覇王者井岡一翔(志成)と1位で並ぶ22勝を抜く23勝で単独1位となる。23勝は歴代世界王者の中でも元3団体統一ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と並ぶ現役最多。なお最多勝利は元世界3階級制覇王者フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)の31勝。

