IBF世界バンタム級王者の西田凌佑(28=六島)が、WBC世界同級王者の中谷潤人(27=M・T)との王座統一戦で敗れ、ベルトを失った。

6回TKO負け。中谷の「ビッグバン」を西田の「ブラックホール」で吸い込むことはできなかった。所属ジムの枝川孝会長が「(ブラックホールは)光を通さない、(西田は)中谷のパンチも通さない。西田は謎めいてるところもある。西田の世界に入っていくというか、吸い込まれていく」と説明した新ニックネーム通り、破壊力ある中谷を封じるべく戦ったが、届かなかった。

武市晃輔トレーナーが「ここまでの準備すべてにおいて、言い訳できないぐらいやってきた」と口にするまでの調整をこなし、過去最高の状態でリングに上がった。それでも中谷に屈し、無念の敗戦となった。

2団体制覇を目指し、家族とともに戦った。家では近大の同級生で、全日本女子選手権バンタム級3連覇の実績を持つ妻沙捺さんのサポートを受けた。たわいもない会話が癒やしとなるだけでなく、日々の気遣いやリカバリー食にキクラゲ入りおじやを準備するなど伴走。沙捺さんがサウスポーだったことで「今回は結構聞いてます」と意見に耳を傾け、家では連日のように向き合って“仮想中谷”となってもらってイメージを膨らませた。試合には3月で1歳になった長女莉奈ちゃんも応援に駆け付けて家族の力を結集。それでも中谷の壁を破ることはできなかった。

【ラウンドVTR】

1回 中谷は30戦全勝、西田は10戦全勝。サウスポーの全勝王者同士が王座統一戦を迎えた。出だしで中谷が猛攻をしかけた。得意の右アッパーを軸に、左フックを強振。西田はガードをがっちり固めて、カウンターの左ボディーフックをヒットさせる。1回から激しい打ち合いとなった。ニッカン採点は中谷10-9 

2回 西田はガードを高く掲げて、じりじりと前進。相手のパンチをブロックして、左ボディーアッパーを軸に攻める。中谷は左フックを強く振っていく。接近戦で左フックを当て、右アッパーを相手のガードをこじ開けるように、連打を何度も繰り出した。ニッカン採点は中谷10-9

3回 西田は左フックをカウンターでヒットさせて、中谷のクリンチを引き出した。前進しつつ、左ストレートも顔面にヒット。中谷はフックに力を込めるが、ラフになって精度が甘くなる。お互いにボディーも攻め合った。ニッカン採点は西田10-9 

4回 西田はコンパクトで最短距離をいくストレートで中谷の顔面を何度もとらえる。左のカウンターもヒット。西田は接近戦でも細かいパンチを的確にヒット。中谷は強振のフックが多く、ヒットが少ない。ニッカン採点は西田10-9

5回 中谷が左ストレートのクリーンヒットを軸に一気にラッシュに入る。西田のクリンチを振りほどいて、チャンスに一気にたたみかけた。偶然のバッティングで西田の右目上が腫れ上がり、終盤にはドクターのチェックが入った。ニッカン採点は中谷10-9 

6回 中谷はゴングから前に出て攻勢をかける。右フック、左ストレートをヒット。左のワイルドなフックで、西田の右目にガードの上から打撃を加えていく。西田は左ボディーフックで反撃したが、右目上は大きく腫れ上がり、ほぼ目が閉じている状況となった。ニッカン採点は中谷10-9

◆西田凌佑(にしだ・りょうすけ)1996年(平8)8月7日、奈良県香芝市生まれ。中学時代は陸上部で長距離専門。王寺工からボクシングを始め、国体で優勝。近大卒業後は大手パンメーカーに就職も六島ジム武市トレーナーの熱烈勧誘もあり、同ジムに入門。19年10月、タイ・バンコクでプロデビュー。21年4月、元世界王者・比嘉大吾とのWBOアジアパシフィック・バンタム級タイトル戦で金星。同タイトルを3回防衛。昨年5月にIBF世界同級王座を獲得した。身長170センチの左ボクサー。23年3月に全日本女子選手権バンタム級3連覇の元ボクサーで大学の同級生、沙捺(さな)夫人と結婚。24年3月27日に長女が誕生。