WBO世界フライ級6位飯村樹輝弥(28=角海老宝石)が世界初挑戦で王座獲得を逃した。同級王者アンソニー・オラスクアガ(27=米国)に挑戦し、9回TKO負けを喫した。プロ11戦目。セコンドに入ったトレーナーで妻の真成美夫人(28)との二人三脚で世界に挑戦したものの、念願のベルトはつかみ取れなかった。

昨年12月、左肋骨(ろっこつ)骨折のため、オラスクアガ戦のオファーを辞退した。通常ならば簡単には巡ってこない世界舞台。ところが、今年1月に再オファーが届いた。「自分は運がいい」とプラス思考にとらえて挑んだ世界初挑戦だった。新たにコンビを組んだ奥村健太トレーナー(37)、そしてマネジャーやトレーナーとして支えてくれる元ボクサーの真成美夫人(28)という強力なセコンド陣とともに世界ベルトを狙ったが、同級最強とも評されるオラスクアガの「壁」は高かった。

名門の日出高(現目黒日大高)から日大に進んだ飯村は、軽量級ホープとして大きい期待をかけられてプロ転向。しかし22年10月、左肋骨の骨折を隠した1戦でプロ初黒星を喫した。その直後、飯村自らが声をかけ、大学4年時から交際していた真成美夫人にマネジャーやトレーナーをお願いした。23年7月に日本同級王座を獲得した直後に結婚。日本王座の防衛戦、東洋太平洋王座獲得の際にもセコンド入り。アマ時代の自身を知る妻から「第三者的な」(飯村)アドバイスを送られてきたことが大きな飛躍の原動力だった。

昨年12月のオラスクアガ戦辞退も同夫人の説得で決めた。1週間ほど「確実に勝つために今やる必要はない」と長女望杏(のあ)ちゃん(1)を寝かしつけた後、深夜まで夫婦対話を続けたという。1月初旬から調整のギアを上げるために妻子と離れ、1人暮らしでボクシングに集中していた後、すぐにオラスクアガ挑戦の再オファーが届いた。試合4日前からは親族に長女を預け、真成美夫人と夫婦のみで最終調整の時間を設けた。飯村は「奥さんが仕上げてくれた。勝てれば何でもいい。何が何でも勝ち取る。自分と奥さん、トレーナー、チームでやってきたことを出すだけ」。トレーナーが妻という個性派ボクサー。夫婦二人三脚で挑戦した世界舞台で不利予想を覆することはできなかった。

【ボクシング】増田陸-ドネア戦&トリプル世界戦/ライブ速報