東前頭4枚目の勢(29=伊勢ノ海)が、無傷の7連勝を飾った。同6枚目の妙義龍(29)を小手投げで下した。連日大声援を浴びる地元大阪で初日からの連勝を守り、今日8日目は大関稀勢の里(29)との全勝対決。勝者は、中日の日本人力士では07年秋場所の安美錦以来8年半ぶりに、全勝で単独トップに立つ。
苦しい体勢になっても、勢は慌てなかった。得意の右を差せず、妙義龍に左差しを許したが、懸命にこらえた。後ろに下がりながら思い切り良く右手を振る。「一気にはたかず、我慢して、辛抱して、受け止めてからだったんで。うまく決まったんじゃないですか」。会心の小手投げで、初日から無傷の7連勝だ。
入幕して、ちょうど丸4年。「感謝の心」を持ち続け、少しずつ強くなってきた。「僕、ありがとうという言葉が好き。ありがとうは魔法の言葉なんです」。きっかけは、新入幕を果たした12年春だった。59歳でプロ合格したプロゴルファー、古市忠夫と知り合った。阪神・淡路大震災で被災しながら一念発起してプロになった古市から「関取、負けても勝っても『ありがとう』ですよ。つらい時でも、試練を与えてくれてありがとう、と言い続けていればいい」と教わった。
その瞬間から、心の持ちようが変わった。結果は考えず、やることをやって、何事にも感謝するようになった。「ありがとうは前向きになれる言葉なんです」。角界随一の美声で知られる勢が、最近好んで口にする歌も小金沢昇司の「ありがとう…感謝」だ。
「結果のことは、まったく考えてません。やることやってなかったら結果なんて出るわけない。そこはブレないです」。今日8日目は稀勢の里との対決。勝者は、日本人8年半ぶりの中日全勝単独トップに立つが、勢に邪念はない。地元大阪の大声援に感謝して、力を出し切るだけだ。【木村有三】
◆日本人力士の中日単独トップ 今日8日目に全勝の稀勢の里と勢の直接対決が組まれたことで、日本人力士が単独全勝で折り返すことが確定。8日目で日本人力士が、全勝で単独トップに立つのは07年秋場所の安美錦以来8年半ぶり。全勝以外では、翌九州場所で1敗の千代大海以来。7日目での日本人力士の全勝並走は06年初場所の栃東、北勝力以来。

