綱とりに挑む大関豪栄道(30=境川)が、苦しい相撲を制して連敗を回避した。東前頭2枚目の魁聖に攻め込まれたが、最後は巻き落としで6勝目を挙げた。玉鷲に敗れた前日の悪い流れを食い止め、わんぱく横綱出身者から初の横綱昇進への夢をつないだ。

 白星の結果だけが、唯一最大の収穫だった。魁聖に攻め込まれた豪栄道が、必死に動いてしのぐ。すくい投げを打ちながら、回り込んだ。最後は、わずかに左の指先でまわしをつかみ、巻き落とした。「何とか我慢してやりました。相撲は良くなかったけど」。2日ぶりの勝利で1敗を守っても、表情は緩まなかった。

 前日6日目に玉鷲に敗れ、先場所からの連勝が20で止まった。15日制が定着した49年夏以降に誕生した31人の横綱で、綱とり場所で連敗しての昇進は1人もいない。負ければ、夢が遠のく大事な一番。やはり、体は緊張していた。「少し硬くなった」。それでも、踏ん張った。「毎日納得いく相撲で勝てるわけじゃないから」。自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

 子供たちに相撲の魅力を伝えるためにも、負けられない。小5時の97年に全国大会を制した豪栄道には、わんぱく横綱として初の横綱昇進の期待がかかる。東京青年会議所主催のわんぱく相撲優勝者には、82年に小4の部を制した貴乃花も名を連ねるが、当時は東京だけの大会。全国の子供が参加し始めた85年以降の優勝者で、角界の頂点を極めた力士はまだいない。同会議所の諸田徳太郎理事(35)は「豪栄道関が横綱になれば、子供たちも夢は追い続ければかなうと、感じてくれる」と熱視線を送る。

 わんぱく相撲参加者は90年代の7万5000人をピークに減少し、今年は4万人だった。18年ぶりの日本出身横綱誕生となれば、子供への影響も計り知れない。「集中してやるだけ」と豪栄道。全国の相撲少年の胸に響くよう、険しい道に挑んでいく。【木村有三】