阿炎、引退寸止め 再犯即処分の誓約書など条件科す

  • 相撲協会の懲戒処分

日本相撲協会は6日、東京・両国国技館で理事会を開き、新型コロナウイルス禍の中でキャバクラに出入りするなどして引退届を提出していた幕内阿炎(26=錣山)について、引退届を受理せず、出場停止3場所と5カ月の報酬減額50%の処分を決めた。引退届については、再び問題を起こした場合に受理することや、それを了承する誓約書の提出、住居を錣山部屋に移すことを条件として、預かりのままとする極めて異例の処分。引退の意向を固めていたという阿炎は「戻りたい気持ちがある」などと話したという。

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阿炎のコロナ禍でのキャバクラ通いに端を発した引退届は、受理されなかった。力士生命は、土俵際で救われた。5月には、新型コロナウイルスに感染した三段目力士の勝武士さんが28歳の若さで死去している。不要不急の外出自粛が求められていた7月場所中の愚行。師匠の錣山親方(元関脇寺尾)を通じて同場所14日目の1日に引退届を提出していた。関係者によると阿炎は角界を去る決意を固めていたが、協会は受理しなかった。<1>今後、程度を問わずに協会に迷惑をかける行為を行ったら受理<2>そのことを了承する誓約書の提出<3>住居を錣山部屋に移すという条件をつけた。

理事会ではまず、引退届を受理するかどうかの話し合いが行われたという。「感染症を軽く考えている。残す余地はない」という意見もあれば「何とか処分を重くして残す方法はないか」という声もあった。八角理事長(元横綱北勝海)が意見をまとめ、多数決(票数は非公表)で未受理が決定。温情も働き、引退届を協会が預かったままという異例の形となった。

コンプライアンス委員会の調査に阿炎は、7月場所前と場所中に4度キャバクラに出入りしたが、そのうち1度は行っていないとうそをついた。同行した幕下の極芯道には、口裏合わせを働き掛けていた。過去にも軽率な言動があった。昨年11月に会員制交流サイト(SNS)への不謹慎な動画投稿、今年2月の日本相撲協会研修会後には不適切な発言。いずれも厳重注意を受けている。理事会に呼び出され、あらためて事情を聴かれた阿炎は「戻りたい気持ちはある。やったことに責任を感じている」と謝罪したという。

引退はせず、角界に残ることとなったが、いばらの道は続く。3場所出場停止で幕下への陥落が濃厚。6月に結婚したばかりだが、幕下に落ちれば無給で、しばらくは愛妻と離れ、錣山部屋での生活が続き、行動も厳しく制限される。長い手足を生かした突き押しを武器に三役も経験。ユーモアあふれるキャラクターで人気もあり、将来有望な力士だが、最後通告を突き付けられた形。とにかく、相撲だけに向き合い再起を期すしかない。

◆阿炎政虎(あび・まさとら)本名は堀切洸助。1994年(平6)5月4日、埼玉・越谷市生まれ。千葉・流山南高から錣山部屋へ。13年夏場所初土俵。15年春場所新十両。18年初場所新入幕。19年名古屋場所新小結。最高位は東小結。敢闘賞2回。金星2個。通算成績は260勝202敗8休。得意は突き、押し。6月に結婚を表明。188センチ、150キロ。

◆日本相撲協会の処分 賞罰規定の第3章「懲戒」に定められている(イラスト参照)。近年の解雇は15年10月、マネジャーの男性を暴行して傷害罪で起訴された熊ケ谷親方(元十両金親)。業務停止は処分期間中、弟子の指導もできない。旧規定で最も重い除名は、公益財団法人移行後の現行規定からなくなった。暴力禁止規定による処分でも同じ7項目が定められている。