西前頭11枚目の尊富士(25=伊勢ケ浜)が、現役引退を発表した横綱照ノ富士への恩返しを誓った。この日は美ノ海を寄り切って1敗キープ。取組後には、これまで助言を受けてきた兄弟子に感謝の思いを口にした。6日目を終えて全勝は王鵬、千代翔馬、金峰山の平幕3人。全勝だった玉鷲に初めて土がついた。大関豊昇龍は1敗を守った。
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尊富士が土俵に上がるさい、ふと見上げると横綱照ノ富士の優勝額が目に入った。「しっかり取ろう」。この日、引退会見に臨んだ兄弟子への感謝を胸に、相手を圧倒。立ち合いで低く当たると右上手を取り、美ノ海を一気に寄り切った。この日の朝稽古でも、横綱から変わらず指導を受けた。「横綱の見ている前で、いつも通り稽古した」。立ち合いに関して照ノ富士からもらった助言が、この日の快勝につながった。
名門伊勢ケ浜部屋への入門を志すきっかけになったのも照ノ富士の存在だった。「横綱がいなければ相撲界でやっていけなかった」と力を込める。右足を痛めながらも賜杯を手にした昨年春場所、千秋楽の朝に後押してくれたのも照ノ富士だった。「記録なんて忘れられる。記憶に残せ」。その言葉を胸に110年ぶりの新入幕優勝を果たした。「あのとき横綱からもらった言葉のおかげで、今も自分はたくさん声援をいただいている」と感謝する。だからこそ引退について「そりゃ寂しいですよ。言葉で表せない。行動で、結果で残すのが恩返し」と力を込めた。
今場所では初日から4日間、横綱土俵入りで照ノ富士の露払いを務めた。「1つの夢だった」と振り返る。その夢の続きは、自らの手で切り開く。「僕にとってはこれが最後ではない。目指すものは大きい。親方になった横綱に恩を返したい」。横綱への感謝を胸に、弟弟子はさらに大きく、強くなる。【奥岡幹浩】

