3年ぶりに関取の座へ返り咲いた西十両14枚目の炎鵬(31=伊勢ケ浜)が明生(30=立浪)を下して勝ち越しを決めた。
立ち合いから間合いを取り、相手の出方をうかがったが、明生の圧力ある攻めに押し込まれ、一時バランスを崩し土俵際まで追い込まれた。それでも、そこから体勢を立て直すと、最後は下手投げで明生を豪快に裏返し、執念でもぎ取る白星。十両の土俵で存在感をあらためて示した。
軍配が上がった瞬間、館内を包んだ大歓声が、その一番の重みを何よりも物語っていた。「がむしゃらですね。無我夢中で。ダメかなっと思いましたけど、心が持ちこたえてくれました。あの状況からすごい力が出ましたね」と息を整えながら振り返った。声援にも「背中を押された感じはありました」と口にし、まさに気力でつかんだ1勝だった。
道のりは平坦(へいたん)ではなかった。脊髄(せきずい)損傷の大けがを負い、23年夏場所を途中休場。そこから7場所連続で土俵を離れ、番付は序ノ口まで落ちた。復帰は24年名古屋場所。白星を重ね今年3月の春場所では幕下で5勝2敗を挙げ、23年夏場所以来となる十両復帰を果たした。
今場所も9日目に7勝目を挙げながら、10日目からまさかの3連敗。「ここ数日は勝ちにこだわりすぎていた。今日は楽しんで取ろうと思いました」と心境の変化を明かし、悪い流れを自ら断ち切った。
十両以上での勝ち越しは、23年春場所以来19場所ぶり。「長かったですね」と、感慨深く話すも「まだまだです。今日も相撲的には良くなかったので」。支えてくれる人への感謝を口にしつつ「自分の人生でもあるので、自分の相撲を楽しみたいですね」と前を向いた。31歳の再挑戦は、ようやく本当のスタートラインに立ったばかりだ。【山田遼太郎】
【動画】まるで柔道の内股!炎鵬、土俵際あざやか逆転の下手投げで明生破り勝ち越し決める

