土俵際での大逆転だった。2敗同士で優勝争いのトップを走る大関霧島(30=音羽山)と琴栄峰(22=佐渡ケ嶽)の一番は、いったんは琴栄峰に軍配が上がったものの、物言いがつき、協議の末に行司差し違えで霧島に白星が転がり込んだ。俵際から渾身(こんしん)のうっちゃりで霧島が単独トップに浮上。3敗で若隆景、義ノ富士、琴栄峰が追う展開となり、最後まで目が離せない展開となった。
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執念の1勝だった。優勝争いの行方を大きく左右する大事な一番で、大関霧島が土俵際の大逆転で白星をつかみ取った。相手は同じく2敗で並んでいた琴栄峰。立ち合いから先手を取って攻め込んだのは琴栄峰だった。低く鋭く当たって前に出る相手に対し、霧島は防戦を強いられ、勢いでは琴栄峰に分があった。
それでも俵に詰まりながら体を残し、最後の最後で渾身(こんしん)のうっちゃり。一度は琴栄峰に軍配が上がったものの、物言いがつき、協議の末に行司差し違えで霧島の勝ちとなった。大関は取組直後「分からなかったです。あんまり覚えてないです」と極限の一番を振り返りつつ「しっかり勝てて良かったです」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
この日の行司を務めた39代木村庄之助にとっては、24年秋場所で立行司に昇格してから初めての差し違え。ほかの行司によれば「10年以上、ないのではないか」という。浅香山審判部長(元大関魁皇)も「あの体勢からでもしっかり残せるし、何が何でも勝つという勝負への思いがすごい」と、粘り腰を高く評価した。
焦りはあった。琴栄峰の取り口に「思っていたより低くきたから、立ち合いは思ったようにできなかった」と苦戦を認めた。それでも最後に勝ち切るあたりに、大関の地力がある。優勝争いは残り2日。2場所連続の賜杯(しはい)へ、霧島が大きな1勝を積み上げた。【山田遼太郎】

