アカデミー賞長編アニメ賞を受賞した「シュレック」(01年)をはじめ、「モンスターVSエイリアン」「ヒックとドラゴン」など数々の大ヒットアニメを世に送り出してきた米アニメ製作会社ドリームワークス・アニメーションが、米ケーブルテレビ大手のコムキャストによって買収されることが明らかになりました。すでに双方の取締役会で承認されており、当局の許可が下り次第年内にも買収手続きが完了する見込みだといいます。コムキャストはこの買収により、子供やファミリー向けの映画やテレビ番組の配信サービスやインターネットによる映画の配信事業、テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ」の運営強化などを行うことを目指しています。

 ドリームワークスはスティーブン・スピルバーグ監督、元ディズニー幹部のジェフリー・カッツェンバーグ氏、ゲフィン・レコードの創設者で映画プロデューサーでもあるデヴィッド・ゲフィン氏の3人で1994年に設立した映画製作会社です。ドリームワークス・アニメーションは、2004年にアニメ部門を分社化したもので、共同創設者のカッツェンバーグ氏がドリームワークス・アニメーションの現最高経営責任者(CEO)に就任しました。1作目となった「アンツ」(98年)以降、今年1月に公開された「カンフー・パンダ3」まで計32作品を製作しています。「シュレック」シリーズの大ヒットに加え、「マダガスカル」や「カンフー・パンダ」などのヒットシリーズを手掛けてきたドリームワークス・アニメーションですが、近年はヒット作に恵まれず2013年には350人の社員をレイオフ。昨年は北カリフォルニアにある2つ目のスタジオを閉鎖し、さらにこれまで年3本ペースで製作してきた劇場用長編アニメ映画を2本に減らす方針を発表するなど、経営難に苦しんでいました。

 ドリームワークス・アニメーションが設立された当初のライバルは、「トイストーリー」シリーズや「ファインディング・ニモ」(03年)を大ヒットさせたピクサーくらいでしたが、2000年に入って20世紀フォックスが「アイス・エイジ」(02年)を大ヒットさせ、ユニバーサルも「怪盗グルーの月泥棒」(10年)が大当たり。低迷していたディズニーも「アナと雪の女王」(13年)「ベイマックス」(14年)を連続して大ヒットさせるなど盛り返しを図っており、2014年にはパラマウントが自社内にアニメーション部門「パラマウント・アニメーション」を設立することを発表。長編アニメ業界はシ烈なライバル争いが繰り広げられています。しかし今回の買収により、コムキャストはルーカスフィムルやマーベル・コミックなどを傘下に持つウォルト・ディズニーと並ぶファミリー向けの巨大メディア娯楽企業となります。ドリームワークス・アニメーションはユニバーサルグループの傘下に入ることから、テーマパークで人気キャラクターの使用が可能になるほか、グッズ販売や動画配信サービスなどの拡大にも期待がもたれています。

 では、ドリームワークス・アニメーションの今後はどうなるのでしょう。今年11月には「シュレック」のクリエーターたちが贈る新作「Trolls」が公開を控えているほか、「クルードさんちのはじめての冒険」(13年)の続編、「ヒックとドラゴン」シリーズ第3弾なども来年以降の製作がすでに発表されています。コムキャストはアニメ製作会社イルミネーション・エンターテイメントを傘下にしていますが、今後はディズニーとピクサーの関係のように、統合せずに独立したブランドとして作品作りを続けていくものと見られています。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)