映画「レヴェナント蘇えりし者」で今年のアカデミー賞で主演男優賞に輝いたレオナルド・ディカプリオが、俳優業の傍らで長年にわたって取り組んでいる環境問題に関するドキュメンタリー映画「地球が壊れる前に(原題:Before The Flood)」を製作し、このほどナショナル・ジオグラフィック・チャンネルで公開されました。10月30日からは日本語字幕版も期間限定で無料配信されています。
20代前半の時に、環境問題に熱心に取り組んでいた当時のアル・ゴア副大統領とホワイトハウスで会談したことがきっかけで、環境問題への関心が強くなったというディカプリオ。「これは人間が直面しているもっとも重要な問題だ」と言われたが、当時はその意味が分からなかったというディカプリオですが、それがきっかけとなり地球温暖化について真剣に考えるようになったといいます。
私生活では環境に優しいハイブリッドカーに乗り、自ら環境保護活動のための財団「レオナルド・ディカプリオ財団」も設立。地球温暖化や環境汚染、絶滅危惧種の保護などに取り組んでいるほか、2007年にも環境問題を扱うドキュメンタリー映画「The 11th Hour」を製作しています。国連ピース・メッセンジャーに任命されたディカプリオは、2014年には国連の環境サミットに登壇し、今地球で起きている環境問題について、「私はフィクションの世界を演じる役者が仕事だが、環境問題はフィクションではなく、現実の世界で誰かが行動を起こさなければ解決はしない」と訴えました。
本作はそんなディカプリオが、自ら3年間にわたって世界各地を巡って、気候変動が生物や生態系にどのような影響を及ぼしているのか取材し、グリーンランドで氷山が崩壊する現場や、フロリダ州マイアミが直面する海面上昇による危機、アマゾンやインドネシアの広大な熱帯雨林が農作物と家畜の餌のために整地される様子などをリポート。さらに、「レヴェナント」の撮影中にも、気候変動がもたらす影響や危機に直面する場面なども描かれています。オバマ米大統領や潘基文国連事務総長、ローマ法王フランシスコと対談を行っているほか、バッテリー式電気自動車を開発・製造販売するテスラモーターズのイーロン・マスクCEOにインタビューもするなどこん身の一作です。
マーティン・スコセッシ監督が製作総指揮をとり、フィッシャー・スティーブンス監督と共に世界中を回って悲惨な現実を目の当たりにし、自分たち人間が想像しているよりもずっと早い速度で急速に地球が壊れていっていることを訴えています。多くの政治家が「地球温暖化は起きていない」とこの問題を黙殺する中で、11月8日に迫った米大統領選を前に一石を投じるのではないかと期待されています。
手遅れになる前に、未来の子供たちへ美しい自然と地球を残すために私たち一人ひとりに何ができるのか、考えることが必要だとディカプリオが語りかけてくれています。
【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)




