ケイティ・ペリーのヒット曲「ダーク・ホース」が盗作だとして無名のラップ歌手から訴えられていた裁判で敗訴し、ペリーや共同制作者、レコード会社などに総額278万ドル(約3億円)の損害賠償金の支払いが命じられました。

訴えを起こしていたのは、キリスト教の信仰をテーマにしたラップ歌手フレームで、自身が2008年に発表した「ジョイフル・ノイズ」に酷似していると主張し、著作権侵害で訴えを起こしていました。

13年にリリースされたペリーの4枚目のアルバム「プリズム」に収録されている「ダーク・ホース」は、15年に開催された米ナショナルフットボール(NFL)の王者を決めるスーパーボウルのハーフタイムショーでも披露されるなどペリーの代表曲として知られており、裁判で証言台に立ったペリーは、「フレームの曲は聴いたことがない」と盗作を否定していました。弁護団も2曲のベースになっているリズムは良くあるものだと主張していましたが、9人の陪審員は「ダーク・ホース」の一部で使用されているリズムが著作権侵害に当たるとの判決を下しました。

14年に提訴されて以来、音楽業界では裁判の行方が注目を浴びていましたが、これまでもヒット曲の盗作疑惑は度々起きており、訴訟になったケースも少なくありません。これまで話題になった盗作疑惑をまとめてみました。

●「マイ・スウィート・ロード」ジョージ・ハリスン

ビートルズ解散後の1970年にジョージ・ハリスンがリリースした初のソロシングル「マイ・スウィート・ロード」は、米国と英国でNO.1となる大ヒットを飾って華々しいソロデビューとなりましたが、発売から5年後に米ガールズグループ、シフォンズのヒット曲「ヒーズ・ソー・ファイン」(63年)の盗作であるとして訴えられて裁判沙汰に。裁判ではハリスンが「潜在意識の内における盗用」を認める形となり、58万7000ドルの損害賠償の支払いが命じられました。

●「ボーン・ディス・ウェイ」レディー・ガガ

レディー・ガガのヒット曲「ボーン・ディス・ウェイ」(11年)にも盗作疑惑がありました。マドンナが自身の「エクスプレス・ユアセルフ」(89年)に酷似しているとメディアで批判。「アプローズ」もマドンナの「ガールズ・ゴーン・ワイルド」に似ていると指摘されるなどマドンナとの類似点が度々話題になるガガですが、「マドンナの曲とは違う。私は色々な楽器を演奏するし、自分で曲も書く」と反論。盗作疑惑以降は2人の間に緊張した関係が続いていましたが、今年に入って和解したと伝えられています。

●「ディス・イズ・アメリカ」チャイルディッシュ・ガンビーノ

俳優としても活躍するチャイルディッシュ・ガンビーノが18年にリリースしたヒット曲「ディス・イズ・アメリカ」にも盗作疑惑が浮上しました。ジェイス・ハーレイの「アメリカン・ファラオ」(16年)に似ているとネットで話題になったもので、米国の銃社会に警告を鳴らす歌詞のテーマやメロディ構成の類似点が指摘されています。ガンビーノのマネジャーは、現在は削除されていますが、制作に3年以上かかっているとして盗作疑惑を否定するツイートをしていました。

●「シンキング・アウト・ラウド」エド・シーラン

エド・シーランは、グラミー賞受賞曲「シンキング・アウト・ラウド」(14年)が故マービン・ゲイの「レッツ・ゲット・イット・オン」(73年)の盗用だとして共作者であるエド・タウンゼントの遺族から著作権侵害で1億ドルの損害賠償を求める訴訟を起こされています。

●「天国への階段」レッド・ツェッペリン

英ロックバンド、レッド・ツェッペリンが71年にリリースした代表曲「天国への階段」が、米ロックバンド、スピリットの「トーランス」(67年)の盗作だとして訴えられました。16年6月にロサンゼルス地裁は著作権の侵害には当たらないとの判決を下しましたが、控訴審ではサンフランシスコの裁判所が一審の判決には複数の誤りがあったとして高裁で再審理するとの決定を下しています。

●「ブラ-ド・ラインズ~今夜はヘイ・ヘイ・ヘイ♪」ロビン・シック

13年に全米ヒットチャートで12週に渡って1位を独占したロビン・シックのヒット曲「ブラ-ド・ラインズ~今夜はヘイ・ヘイ・ヘイ♪」が、マービン・ゲイの「黒い夜」(77年)の盗作であるとして訴えられていた裁判で、陪審員は著作権侵害を認める判決を下しています。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)