ハリウッド直送便

「MCU作品は映画?」Mスコセッシ監督発言で波紋

今年4月に公開された「アベンジャーズ/エンドゲーム」が全世界累計興行収入で「アバター」(09年)を抜いて1位となるなど、近年のハリウッドはマーベルコミックのヒーローが活躍する映画が大成功を収めています。マーベルシネマティックユニバース(MCU)と呼ばれるマーベルのヒーローたちが活躍する映画シリーズは、「アイアンマン」「キャプテン・アメリカ」「マイティ・ソー」「ブラックパンサー」「ドクター・ストレンジ」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」などたくさんあり、さらにはマーベルのヒーローたちが一堂に会する「アベンジャーズ」シリーズまであり、アメコミファンでない人にはもうなんだかよく分からない…となっている部分もありますが、ハリウッドでは今、そもそも「マーベル作品は映画なの?」という論争が起きています。

マーティン・スコセッシ監督
マーティン・スコセッシ監督

ことの発端は、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した「タクシードライバー」(76年)やアカデミー賞作品賞に輝いた「ディパーテッド」(06年)などで知られる巨匠マーティン・スコセッシ監督が、「マーベル映画はテーマパークのようなもので、映画ではない」とインタビューで語ったこと。「MCU作品を見ようとしたことはあったけど、挫折した」というスコセッシ監督は、「人間の感情や心理体験を他の人に伝えようとする人間の映画ではない」との見解を示したことで、ハリウッドは大きく揺れたのです。スコセッシ監督はもちろんこれまで一度もアメコミ作品を手掛けたことはありませんが、今や多くの監督や俳優がアメコミ作品に関わっていることから、業界内でもこのスコセッシ監督の発言に対して賛否両論の声が上がっています。

MCU作品を手掛けるマーベルスタジオを傘下に持つウォルト・ディズニーのロバート・アイガーCEOは「無礼だ」と反論していますが、多くの監督や俳優もスコセッシ監督の発言に対してさまざまな反応を見せています。マーベル映画論争に対する支持派と反対派の意見をまとめてみました。

●フランシス・フォード・コッポラ監督

「ゴッドファーザー」シリーズや「地獄の黙示録」(79年)で知られるフランシス・フォード・コッポラ監督は、スコセッシ監督の考えを全面的に支持すると表明。仏リヨンで開催されたリュミエール映画祭で功労賞を受賞したコッポラ監督は、この件について意見を求められると、「マーベル作品が映画ではないと言ったのは正しい。“卑劣だ”と言わなかったマーティンは寛大だと思う。自分ならそう言っていたね」と発言し、観客に対して何かしらの知識やインスピレーションを与えることのないマーベル作品には嫌悪感さえ抱いていることを明かした。

●ジェームズ・ガン監督

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズでメガホンを取るジェームズ・ガン監督は、ツイッターでスコセッシ監督の発言について反論。スコセッシ監督を尊敬する映画監督の一人と認めた上で、スコセッシ監督の「最後の誘惑」(88年)が批判を浴びたことを引き合いに「作品を見ていない人たちが批判をしていることに憤りを感じたけど、今度はスコセッシ監督自身が同じように僕の作品を見ずに批判していることは悲しい」とコメント。

●ジョン・ファブロー監督

「アイアンマン」シリーズでメガホンを取るジョン・ファブロー監督は、「スコセッシ監督もコッポラ監督も私のヒーロー。彼らは自分の意見を言うだけの権利がある。彼らは何を言っても良い」と巨匠たちへの敬意を示しています。

●ロバート・ダウニー・Jr

MCUでアイアンマンことトニー・スタークを演じるロバート・ダウニー・Jrは、ラジオ番組でこの件について問われて大人の対応を見せています。「映画館で上映されているんだから、映画じゃないの?」とジョークで反論したものの、「彼の意見はありがたく受けとめている。前に進む論議をするためには何事にもおいてもいろいろな視点と考え方に耳を傾けることが必要だ」とコメント。一方、ハリウッドの映画界に大きな影響を与えているスーパーヒーロー映画に関われたことを誇りに思うと語っています。

●サミュエル・L・ジャクソン

「アベンジャーズ」シリーズでニック・フューリーを演じるサミュエル・L・ジャクソンは、「誰もがマーティンの映画を好きなわけじゃないし、それぞれの意見があって良い。映画は映画だよ」とコメント。

●ベネディクト・カンバーバッチ

MCUでドクター・ストレンジを演じているベネディクト・カンバーバッチは、「彼の意見に同意するよ。一人の王が全て支配して独占するのは好ましくない。私たちは全てのレベルでアマチュアの映画監督を支援し続ける方法を探すべきだ」とコメント。

●ナタリー・ポートマン

「マイティ-・ソー」シリーズでヒロインを演じているナタリー・ポートマンは、「どんな映画でも存在する権利はあると思う。芸術を作り出す方法は1つではない」とコメント。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)

◆千歳香奈子(ちとせ・かなこ) 1972年札幌生まれ。92年に渡米。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月からロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。

おすすめ情報PR

芸能ニュースランキング