ディズニー・アニメの名作を英国のガイ・リッチー監督が実写映画化した。

マドンナの元夫として知られる監督は、テンポの良い犯罪活劇で世に認められたが、後のシャーロック・ホームズ・シリーズなど、往年の名作を今風に仕立てる手腕もある。

原作の「千夜一夜物語」を子どもに読み聞かせるような優しさが、アニメ版以上に前に出ている。マドンナとの間に生まれた長男の幼少時には、ママよりもパパと戯れる姿がしばしば報じられた。武骨に見える監督のそんな一面がこの作品には反映されている。

アラジン役のメナ・マスードと王女ジャスミン役のナオミ・スコットはこれからを期待される20代。動きにキレがあり、喜怒哀楽の真っすぐな演技が気持ちいい。笑いを一手に引き受けるのが魔神ジーニーのウィル・スミスで、おどけ役に徹したオーバーアクションで子供心をくすぐる。

いにしえの「バグダッド」はさもありなん、という壮大な街並み。空飛ぶじゅうたんは水面すれすれでイルカの群れと遭遇。特殊効果が随所に効いている。「ホール・ニュー・ワールド」などアニメ版そのままの音楽も裏切らない。【相原斎】

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