M-1グランプリは、3回戦を終えた。今年のエントリー総数は過去最多の1万2663組。ここから年末に向けて、さらに熱い闘いが待っている。

大阪で3回戦を闘い、準々決勝進出を決めたのは34組(東京3回戦組は別)。ファンの期待を集める有力どころ、勢いのある若手、ラストイヤーに賭けるコンビなど、34組の名前を見れば「なるほど」と、うなずけるメンバーがそろった。一方でオーサカクレオパトラ、隣人、アイラブ地球、茜250CCらが敗退したことに勝ち上がりの厳しさを感じる。

ここから準々決勝(大阪は11月18日。東京は19、20日)、準決勝と、さらに険しい道のりとなるが「大阪勢で決勝に進出するのは誰か?」という視点で、私見を述べてみたい。

決勝経験者からは、豪快キャプテンが有力とみる。昨年、初の決勝ステージに進んだが、いささか消化不良、実力を出し切れなかった印象が今もある。彼らの面白さは、山下ギャンブルゴリラがべーやんに対して理不尽なほどの怒りをぶつけ、それがエスカレートしていく姿にある。昨年優勝したたくろうが赤木の「挙動不審」をシンプルに押し出したように、ギャンゴリには「凶暴さ」をフルに発揮してほしい。その怒声に対し、べーやんが飄々(ひょうひょう)と受け流すスタイルに笑わずにいられない。

このスタイルにますます磨きがかかっており、NHK新人お笑い大賞2026(11月1日開催)では見事に優勝した。決勝進出はもちろん、今年のM-1王者に最も近い存在ではなかろうか。

豪快キャプテンのべーやん(左)と山下ギャンブルゴリラ(2026年6月撮影)
豪快キャプテンのべーやん(左)と山下ギャンブルゴリラ(2026年6月撮影)

決勝未経験組では、まずフースーヤ。独特のワードセンスと息の合った掛け合いで「しゃべるギャグ漫画」として、早くから人気を集めていた。ただ、ファン層が10代20代に集中し、アダルト層は彼らのセンスについて行けない現実があった。

それでも2023年、24年と準決勝進出。昨年も準々決勝まで勝ち残った。ようやく時代がフースーヤに追いついてきた感がある。一気に突き抜ける、機は熟した。

最後に、天才ピアニスト。これまでに準々決勝に5度進出しながら、準決勝の厚い壁に泣いてきた。単独ライブを毎月行い、よしもと漫才劇場では立ち見客も出る。新ネタを次々と発表しており、上方漫才大賞新人賞やTHE Wなど賞レースでの実績は十分。

フースーヤの田中ショータイム(左)と谷口理(2026年9月撮影)
フースーヤの田中ショータイム(左)と谷口理(2026年9月撮影)

今年はキングオブコント、ダブルインパクトの出場を見送り、M-1一本にターゲットを絞った。天才ピアニストについては「女性コンビだから」「女芸人特有の」といった見方は一切不要。面白いかどうか、がすべて。変幻自在の女優(ますみ)と、最強のネタ書き(竹内知咲)の底力に期待する。

【三宅敏】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミへキタへ~」)

天才ピアニストの竹内知咲(左)と、ますみ(2026年9月撮影)
天才ピアニストの竹内知咲(左)と、ますみ(2026年9月撮影)