宝塚 ~ 朗らかに

雪組トップ3年目「強くなりたい」/望海風斗

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」に主演している望海風斗(撮影・加藤哉)
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」に主演している望海風斗(撮影・加藤哉)

雪組トップ望海風斗(のぞみ・ふうと)は元日に、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の兵庫・宝塚大劇場公演で、新年20年の幕を開けた。今年の抱負は、漢字一文字で「強」。あこがれの傑作ギャング映画をもとにしたミュージカルに臨んでいる。宝塚で2月3日まで上演中。東京宝塚劇場は2月21日~3月22日。

ギャング映画を男役としての参考にしてきた望海にとって、悲願でもあった。

「いや~っ! すごくうれしかった。小池先生もこの映画が大好きだ、と。いつかやるんじゃないかとは思っていたので、自分もその一員として出演したいなって…。でも、まさかヌードルス(主演)をさせていただけるなんてっ!」

演出の小池修一郎氏が舞台化を温めつつ、作風に影響を受けた作品だった。

「ギャング…そうならざるを得なかった人たちの背景。底からてっぺんを目指す。でも、うまくいかない。少年から長い期間を描き、自分の人生も振り返ることができるんじゃないか」

20世紀の米社会が舞台。移民少年たちが成り上がろうとする様を描く。「(少年期も)自分たちでできるので、膨らませやすいですね」。かつて「アル・カポネ」を演じ、設定になじみもある。孤独、忍耐強さも持つ主人公だ。

「人間的には共感できる部分も。ただ、私は(忍耐力は)全然ないです(笑い)。自分の感情なら、どうしても感情がこみ上げてしまうので、ある意味、発散できない役。怒りも」

演じていて、03年の入団から重なる部分も多い。

「今となっては、すべてが『あってよかった』と思う。出会う人、作品に導いてもらった。当時は苦しく必死でしたが、だからこその今。すべて必要だった」

次席入団し、劇団最古の花組に配属。新人公演、バウ主演を経験しつつも、個性に悩んでいた。13年、蘭寿とむ主演の「オーシャンズ11」でベネディクト役を得た。転機のひとつだ。

「あれがなければ、こんなに舞台で感情をストレートに表現することは、できなかったんじゃないかなと思う。蘭寿さんは黙々と役作りをされ、背中を見せるトップさんだった。私も、できないなんて絶対言っちゃいけないと思えた」

稽古を終えるたび、チームで反省会。自信をふくらませた。その後、同期の明日海りおが月組から花組へ。後に自身は雪組へ移りトップに就いた。昨年、明日海の本拠地退団時には花束を渡し「生まれ変わってもまた一緒に」とかわした。

「(前星組トップ)紅(ゆずる)さん、明日海が退団したといえ、自分はあまり変わらず。これから(宝塚を)支えていかなきゃいけない若手が、どう経験を積めばいいのか。今、私たちができることを考えるのも責任だと感じています」

花組、星組に新トップが誕生。5組最上級生トップになったが、望海の心は不惑。昨年は「振れ幅の大きな役をいただき、上にも下にも伸び、柔軟性がついた1年」と振り返り、今年は「新しさと宝塚の伝統も両立していきたい」と話す。

2020年、新年の漢字を聞けば「強」と答えた。

「強くなりたい。トップ3年目。1年目は周りが見えず皆に支えてもらい、2年目が過ぎ、今年はトップとして強く立って、皆に自由にしてもらいたい」

充実の幕開けだ。【村上久美子】

あこがれの作品への思いを語った望海風斗(撮影・加藤哉)
あこがれの作品への思いを語った望海風斗(撮影・加藤哉)

◆ミュージカル「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(脚本・演出=小池修一郎) 84年公開のギャング映画(セルジオ・レオーネ監督)をもとに世界初ミュージカル化。20世紀の米社会を背景に、ニューヨークの貧民街で暮らす移民少年が、ギャングとして成りあがる過程と友情、絆、恋を中心に描く。望海風斗演じる主人公らは少年期、青年期、初老期と3世代を演じる。

☆望海風斗(のぞみ・ふうと)10月19日、横浜市生まれ。03年入団。花組配属。09年「太王四神記」で新人初主演。14年「エリザベート」でルキーニ。同11月に雪組へ。15年「アル・カポネ」で東上初主演。17年7月に雪組トップ。前々作「ファントム」は、相手娘役真彩希帆とともに、圧巻の歌唱力で好評を得た。身長169センチ。愛称「だいもん」「ふうと」「のぞ」。

夢の舞台を創り続けて100年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

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