5年目の碧海さりおが、星組「眩耀(げんよう)の谷~舞い降りた新星~」新人公演で、初主演を射止めた。星稜高出身。在学中に来校したOB本田圭佑氏が口にした「あきらめたら、自分が負け」との言葉を胸に、宝塚音楽学校は4度目の挑戦で合格した。“本田魂”でセンターに立つ。兵庫・宝塚大劇場は25日、東京宝塚劇場は4月9日。

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「頭が真っ白に。ここまで驚いたことはなくて、そこまでに覚えていた振付、セリフが全部飛びました」

初主演を告げられた時を振り返った。本公演は、新トップ礼真琴の本拠地お披露目。入団から約1年後の「こうもり」新人公演で、礼の役に抜てきされた縁もある。「(礼が)肩をトントンとたたいてくれたのが、何よりうれしかった」。あこがれの先輩の節目作での初主演にも感謝する。

「私、受験を4回し、毎年、3次の最終で落ちていて…」。3年連続、発表ボードに番号はなかったが、あきらめなかった。「原動力は? って、よく聞かれるんですが、宝塚受験をやめる選択肢はなかった」。

小学校高学年で初観劇した当日に、入団を志した。4度目、最後の受験で、試験官から「なぜここまで?」と聞かれ「執念です」と答えた。その不屈の闘志こそ、高校時代、学校に来た本田の言葉が源だった。

「全校集会で『何事にも限界はない。あきらめたら、自分が負けだ』とおっしゃって。ちょうど、(宝塚受験に)落ちた後だったので、すごく身に染みて」

高校時代は野球部、サッカー部の応援にも行った。

「(星組の今と)同じ星(稜)で、うちの学校は応援も熱かった。私、幼稚園も星組(笑い)。星のキラキラ感と、体育会系的な星組のギラギラした感じ、熱さ、熱量を持った男役に。礼さんの全部を学び、進化し続けられる男役でいたい」。その瞳は星のごとく輝いている。【村上久美子】

◆幻想歌舞録「眩耀(げんよう)の谷~舞い降りた新星~」(作・演出・振付=謝珠栄) 紀元前の中国大陸が舞台。西方からきた流浪の民「■(ブン)族」は、神「瑠璃瑠(ルリル)」の使いに導かれ、亜里(アリ)という地にたどり着き、小国「■(ブン)」を築く。ところが、勢力を拡大してきた周国に首領を討たれ、統治下に置かれる。この地に新しく大夫として赴任した丹礼真を中心に描く歴史ファンタジー。

☆碧海さりお(あおみ・さりお)6月16日、石川県金沢市生まれ。星稜高出身。15年入団。16年「こうもり」新人公演で礼真琴の役に抜てき。17年「ベルリン、わが愛」で副組長・美稀千種の役に。18年台湾公演にも。身長169センチ。愛称「ちゃりお」「さりお」。

※■=さんずいに文