宝塚歌劇団雪組トップの早霧(さぎり)せいなが5日、兵庫・宝塚大劇場で人気漫画を原作にした主演ミュージカル「浪漫活劇 るろうに剣心」の初日を迎えた。

 早霧は一昨年のトップ初作品で「伯爵令嬢」、昨年は本拠地お披露目の「ルパン三世」と漫画原作物を次々に好演してきた。今回は、全国を流浪する伝説の剣客で「るろうに(流浪人)」の緋村剣心になりきり、客席から喝采を浴びた。

 「今までやってきた自分の勘を信じて、どの程度までなら(誇張も)いいのかバランスを考えて。夢にまで見るほど考えて」。悩み抜いて作り上げた“早霧剣心”は、原作キャラの持つ二面性を見事に演じ分けた。

 「逆刃刀」で峰打ちながら相手を打ちのめす技を駆使し、剣を振り下ろして流し目で決めポーズ。伝説の剣客の腕を見せたかと思えば「疲れたでござるよ~」「おろ!」と、ちゃめっ気たっぷりに剣心の口癖を再現して笑わせた。

 「原作ファンの方にがっかりされないように」

 2次元キャラクターにリアルを吹き込む演技力には定評があるだけに期待値も高く、前売り券の売れ行きは絶好調だった。

 拍子木の音に乗り、歌舞伎調の舞いのようなパフォーマンス、剣心らしく軽やかに飛び回る殺陣も披露するなど早霧は存分に持ち味を発揮した。まだ初日だが、芝居が固まってくればアドリブの可能性もある。けいこ中からすでに「(アドリブを)やりたくなるでしょうね」と、まだまだ進化を予告しており、楽しみは尽きない。

 宝塚大劇場は3月14日まで、東京宝塚劇場公演は4月1日~5月8日。