1月に死去した俳優松方弘樹さん(享年74)をしのぶトークイベント「追悼 松方弘樹」が10日、都内で行われた。弟の目黒祐樹(69)映画ライター春日太一氏(39)タレント杉作J太郎(55)の3人が、松方さんの人柄、作品について語り合った。

 目黒は「まだ実感がない。いまだに電話したら出てきそうな感じがする」。子供の頃はガキ大将だった松方さんとじゃれ合うように遊んだという。「5歳も年が離れているから、絶対にかなわない相手だった。プロレスでも相撲でも、よく2人でやった。力道山やルー・テーズの技を『これが岩石落としだ』なんて掛けられていた」。杉作が「僕らの見たことのない、レスラー松方弘樹の姿ですね」と突っ込んで、会場の爆笑を誘った。

 目黒と松方さんは、容姿が似ていることもあり、共演は少ない。「兄貴は面白い役者。自分のはるか先を走っていた。明るいキャラで、何かやらかしても、底抜けの笑顔で『ゴメンね』というと許されちゃう。僕の持ってないものをたくさん持っている、あのキャラに憧れていました。こういう風に生きられたらいいなと思っていました」と話した。

 俳優、趣味、女性と人生を楽しんだ松方さん。目黒は「その場、その場で、全てに全力投球。自分の人生を生きていた。あれで不満があるならずうずうしいですよね」と笑った。「松方弘樹という、やんちゃで面白い存在の役者が74歳で、この世を去ったけど記憶に残しておいてください。弟としてお願いします」と話した。

 春日氏は「映画や釣り、好きなことについて話しているときの松方さんは、うれしさがあふれ出ていた。どんな大御所でも、誰かしら文句を言う人がいるけれども、松方さんは聞いたことがない。亡くなった後、一緒に仕事をした人たちが、松方さんについて語りたくて、たくさんメールをくれた」としのんだ。

 杉作は「53、54歳で『この年になっても結婚出来てない』と相談したことがあった。松方さんは『何、言ってんの、これからだよ』って、おチンチンをたたいてくれた(笑い)。明るくて励ましてくれて、ありがたかった」と話した。