音楽プロデューサー小室哲哉(59)が19日、都内で会見を開き、引退を表明した。不倫疑惑報道が引退を決意させる引き金になったが、09年の5億円詐欺事件の判決後、10年に復帰してから、悩み続けてきた7年間があったことが浮き彫りになった。会見中の言葉から引退の真相を探る。

◆自分の音楽が時代に合わないのではという不安

 体調不良も重なる中、昨年秋ごろから「(楽曲制作の)締め切りが滞ることが多くなった。やっとの思いで出来上がる状態で、90年代では考えられなかったこと。60歳は能力、才能の節目で、期待に応えられるレベルではなくなっているのかなと思い始め、不安、懸念、自信のなさといったことが日増しに増えていった」といい、かつて感じなかった音楽制作に対する迷いが深まっていった。

 さらに時代の変化も追い打ちを掛けた。「めまぐるしく変わる音楽業界の中で、引退という言葉が頭に浮かぶようになって、自分の身体的な限界や音楽業界で僕の才能が本当に必要なのかと自問自答してきた」と明かした。

 ヒット曲を連発した90年代当時を「ブームで今思うとすご過ぎた」といい、自分の現状を「影響があり過ぎたところが基準になって、それを超えられないし、下回ると『レベルが下がった』と言われる」と吐露した。