俳優松重豊(56)が「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」(細川徹監督、10月公開)で、デビュー34年目で映画に初主演することが26日、分かった。

原作は作家ヒキタクニオ氏のエッセーで、男性不妊の現実を受け止めながら妊活に取り組む夫婦を描いた。年の離れた妻を北川景子(32)が演じる。

テレビ東京系「孤独のグルメ」シリーズでの主演をはじめ、ドラマやCMなどで活躍中の松重だが、意外にも映画主演はなかった。松重は「主演、脇役という意識なくこれまでも仕事をしてきました。今回も主演ということは考えずに取り組んだ」と自然体で臨んだとした。それでも「妊活モノというのはまったく想定外の出演依頼でした」。

製作サイドは「子供のようなかわいらしさのある大人の男」という主人公に、松重のイメージを重ねてオファーした。

昨年4月にクランクイン、約1カ月かけて撮影。松重は現場に入るまでは年齢差のある夫婦設定をどう成立させるのかに腐心していたそう。「でもさすが北川さん、自然な夫婦感を醸し出してくれました。夢のようなひとときでした。クランクアップが恨めしいほどでした」と振り返った。

北川は「松重さんとは何度も共演させていただいているので、信頼関係が出来上がっている状態で演じられたのは本当に良かった。クランクインしてすぐに、自然と夫婦になれたような気がしました。毎日朝から晩まで一緒にいて、本当に家族のような錯覚さえ覚えました」とコメントした。

同作は4月開催の「第9回北京国際映画祭」のコンペティション部門での上映が決まった。参加は調整中だが、松重は「華やかな舞台は無縁だと思っていました。北京にはおいしいカフェがあって、スイーツを食べるのが今から楽しみです」と話している。

◆「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」 49歳の作家ヒキタクニオ(松重)は、ふた回り近く年下の妻サチ(北川)と暮らしている。子どもは作らないと決めていたが、妻の「ヒキタさんの子どもに会いたい」の一言で妊活を始める。しかし検査の結果、夫に不妊の原因があると判明。困難に夫婦ともども立ち向かい、前向きに乗り越えていく。ほかに浜田岳、山中崇、伊東四朗らが出演。