東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ紙7社の映画担当記者で構成)が主催する第62回ブルーリボン賞が27日までに決まった。主演男優賞は「記憶にございません!」(三谷幸喜監督)の中井貴一(58)、同女優賞は「コンフィデンスマンJP-ロマンス編-」(田中亮監督)の長沢まさみ(32)で、ともに初受賞。作品賞は「翔んで埼玉」(武内英樹監督)。授賞式は2月18日、東京・霞が関のイイノホールで行われる。

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受賞作は劇場で見た。「自分のアラが気になって、自信を持って宣伝できなくなるので試写は見ないんです。劇場で見て、案の定落ち込みました。浅丘ルリ子さんが見てくださっていて『面白かった。あの映画で落ち込むって傲慢(ごうまん)よ』って怒られて、元気になりましたけど」

ネガティブ思考の背景には「永遠の二枚目」と言われた父・佐田啓二(享年37)の大きすぎた存在がある。父の主演賞は29歳の時。「ウチの応接間にブルーリボン賞のトロフィーがあって、デビュー40年で僕もおやじのところにたどり着いた」と感慨ひとしおだ。三国連太郎=佐藤浩市以来17年ぶり、2組目の「親子主演賞」となった。

「主演賞をいただいた時、父はスピーチで『次回は助演賞をいただきます』と言い、母は『何かっこつけてるのよ』と思ったそうです。父には主演賞は取らせてもらうもの、助演賞は自分の演技で取るものという考えがあった。僕は先に助演賞(95年、日本アカデミー賞)をいただいた。その時は父が取れなかったもの、今回は父と同じものという別の喜びがあります」

盟友、三谷幸喜監督とのコンビ作が評価された。「脚本が第一で相手の方とのコラボレーションで初めて笑いが生まれる。泣かせる演技は10秒、20秒…間がずれてもお客さんは泣いてくれる。笑いの方は0・1秒、間が狂ったらもうウケない。コメディーが認められたのは本当にうれしい」と満面の笑みを見せた。

▽以下は第62回ブルーリボン賞の受賞者、受賞作

作 品 賞 翔んで埼玉   武内英樹監督

監 督 賞 真利子哲也監督「宮本から君へ」

主演男優賞 中井 貴一  「記憶にございません!」

主演女優賞 長沢まさみ  「コンフィデンスマンJP―ロマンス編―」

助演男優賞 吉沢 亮   「キングダム」

助演女優賞 MEGUMI 「台風家族」「ひとよ」

新 人 賞 関水 渚   「町田くんの世界」

外国作品賞 ジョーカー  トッド・フィリップス監督