人気俳優への登竜門「第33回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」の最終選考会を取材した。今年のグランプリは北海道出身の中学3年生、前川佑さん(たすく=14)に決定。物おじしない振るまいが印象に残り、大物の器を感じさせた。

前川さんはグランプリとして名前を呼ばれると、胸に手を当てた。こうしたコンテストものでは受賞の瞬間を描写するのが定番なので、壇上の様子をしっかりと見る。喜びのコメントは「信じられません」か、はたまた「頭が真っ白です」か。想像していると、予想に反して前川さんは「自信はあった」と笑顔だった。胸に手を当てたのは感極まったというより、期待した結果に落ち着いてホッとしたのだろう。

その後のメディア取材では、受賞の瞬間を「俺ならできると自信があった。よっしゃ!という感じ」とあらためて語った。昨夏から俳優業に興味を持ち、母親の薦めもあって同コンテストに自ら応募したという。ミュージカル映画が好きで、憧れは米俳優ザック・エフロン。「歌って踊って演技して、みたいな仕事もしたいし、ドラマもやりたい」と希望を話した。

中学ではクラブチームに所属するなどサッカーに打ち込んだが、高校では打って変わってピアノに挑戦したいという。「休日の何もしていない時間が嫌いなので、そういう時間にできたら憂鬱(ゆううつ)じゃなくなるんじゃないか」と、理由を語った。大人ばかりに囲まれ萎縮してしまいそうなものだが、あらゆる受け答えは堂々としたものだった。

好きな俳優を答える場面では、同コンテスト出身の溝端淳平(31)を横目に「日本には特にいないんですけど」ときっぱり。14歳らしい素直さに笑いも生まれたが、自分をきちんと表現できてやりたいことも明確。溝端の「人生2周しているんじゃないか」というコメントがふに落ちた。

この舞台度胸は芸能界で生きる強みになるだろう。【遠藤尚子】