バスケットボール男子日本代表が「SLAM DUNK」魂を注入し、パリ五輪に挑む。
トム・ホーバス監督(56)が、23日に全国で行われた映画「THE FIRST SLAM DUNK」(井上雄彦監督)の1日限りの復活上映で初鑑賞。安西先生の名ぜりふ「あきらめたらそこで試合終了だよ」に強く共感し、「パリ五輪で結果を出せば若い選手がバスケを始める。この映画も見たらそうなる。良いコンビ。日本のメインスポーツにしたい」と“共闘”を誓った。
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ホーバス監督は主人公の宮城リョータが兄ソータと1on1でぶつかる幼少期のシーンで左頬に手を当てた。湘北高と山王工業との激闘の最中は、手は右頬に…。2時間4分の上映時間の間、バスケと人生を顧みた心の動きが無意識に手や体の動きとして出た。
「5歳でバスケを始めた。僕も兄と1on1をやった。ハイスクールでは州で優勝したし(リョータが兄を亡くしたように)45年も前に仲の良い友達を亡くした。選手は12年、コーチングも20年くらい…プロになるとエモーション(感情を爆発させる)にならないもの。薄れた記憶を思い出し、選手の気持ちになった」
湘北-山王戦の最中には左拳を2度、握った。湘北のワンマンプレーと監督の安西先生の采配に、感情が激しく揺れ動いた。完全にコーチ目線になっていた。
「コーチ、何を考えてるの? と怒っていた。(山王の守備の)プレスブレーク、考えて欲しかったな。最初はリョータもドリブルばかりで早くパス、と思った。(湘北の選手は)チームプレーをしていない」
その中、安西先生の名ぜりふ「あきらめたらそこで試合終了だよ」でよみがえった湘北の姿を見て、自身の理念との共通点を見た。
「僕も試合は40分、最初から最後までやらないとダメって言ってるよ。メッセージは一緒。いつも言うんだけど、日本のチームが一番、大事。1人、1人じゃない(湘北は)最後はチームバスケを、ちゃんとやったら勝つと分かったかな」
昨年9月のW杯で、76年モントリオール五輪以来48年ぶりに自力でパリ五輪出場権を獲得。逆転で勝つ姿が作品と重なると話題を呼び、カボベルデとの最終戦後、10-FEETのエンディング主題歌「第ゼロ感」が流れたが、ホーバス監督は映画を見ていなかった。練習の見学にも足を運ぶ、原作の井上雄彦監督(57)と昨年、会食した際に「また映画館でやるので、ぜひ見てください」と復活上映の鑑賞を勧められた。
上映後、観客が拍手をするのを見て、立ち上がって拍手した。「すごい」と感動した思いを2月の合宿に持ち込む。「『映画を見ましたか?』『どうでしたか?』と選手1人、1人ずつ話したい」。2月に発売されるブルーレイ、DVDを「エネルギーになるのは間違いない」とパリの地に持っていくことも示唆。「『第ゼロ感』もパリで聞きたいね」と笑みを浮かべた。
自身の現役時代に連載された「SLAM DUNK」に触れ、育った選手が代表やBリーグで活躍し、日本バスケは底上げされた。「パリ五輪まで良い結果を出したら、若い人はバスケを始める。この映画を見て選手になりたい人も、きっといっぱいいる。良いサイクルだし、良いコンビ。僕は日本のコーチ。バスケットを日本のメインスポーツにしたい」。言葉は揺るぎなかった。【村上幸将】



