25年8月16、17日にNHK総合で放送されたNHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」のドラマパートに40分の追加シーンを加えた、池松壮亮(35)の主演映画「開戦前夜」(石井裕也監督、31日公開)の製作委員会が17日、声明を発表した。

前日16日に発表した、19日に開催予定だったプレミア上映会を中止した理由は現在、係争中の裁判の原告側が、14日に本作の試写会会場入り口付近の公道において拡声器などを用いて街宣活動を行ったことを受け、19日にも同様の事態が発生することを考慮したためと説明した。

「開戦前夜」は、猪瀬直樹参院議員(79)が83年に出版したノンフィクション「昭和16年夏の敗戦」が原案。日本最高の頭脳を持つ若者が秘密裏に集められ、模擬内閣を結成して日米開戦の行く末をシミュレーションした、実在した「総力戦研究所」に着想を得て、石井裕也監督(42)が脚本・編集・演出を担当し、初めて戦争ドラマに挑戦。“圧倒的な敗北”の結論を手にした若者たちが、開戦へ突き進む軍や本物の内閣と対峙(たいじ)する物語。

作品を巡っては、総力戦研究所の初代所長・飯村穣中将の孫で、元駐フランス大使の飯村豊さん(79)が、祖父の名誉を毀損(きそん)されたと主張し、25年12月にNHKなどに550万円の賠償を求めて東京地裁に提訴。7月22日に第3回口頭弁論が予定されている。

製作委員会は「2026年7月19日に開催を予定していた映画『開戦前夜』のプレミア上映会に関しては、既にご案内のとおり中止することにいたしました。楽しみにお待ちいただいていた皆様にご心配とご迷惑をおかけしましたこと、あらためて心からお詫び申し上げます」と謝罪。「本作ドラマ版(NHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」のドラマパート)については、現在、裁判手続が進行しています。そのため、製作委員会としては司法の場で決着がなされると想定していたところ、7月14日、本作の試写会会場入口付近の公道において、上記訴訟の原告ら数名から、拡声器を用いて、本作ドラマ版及び映画版を批判する演説やビラ配布等が行われました。これを受け、7月19日に予定されていたプレミア上映会でも同様の事態が生じた場合に、お客様や登壇者、映画館その他の関係者に対してご迷惑をおかけする可能性を考慮し、やむなく同上映会を中止することにいたしました」と、中止に至った経緯を説明した。

その上で「製作委員会は、本作に公開を差し止めるべき違法な権利侵害はないと考えており、予定どおり、2026年7月31日の公開に向けて準備を進めてまいります」と、予定通り劇場公開を行うことを強調した。