山田洋次監督(94)が手がけ、渥美清さんが主演した人気シリーズ「男はつらいよ」ファン感謝祭イベントが、1969年(昭44)に第1作が封切られた日と同日の27日に、東京・MOVIX亀有で行われた。3回目となる今年は、大ファンの劇団ひとり(49)が初参加。三平役で出演し、25年は司会を務めた北山雅康(59)が、2年連続で参加した。

質疑応答で、観客から、テキ屋を生業にしていた寅さんこと車寅次郎が、令和の時代に生きていたら、何を売ってもらいたいか? と質問が出た。山田監督は「令和の時代に売るものって、なかなかないですね。寅さんの売るものは、みんなインチキなんだからね。とても安いだけあって、買った人は変なものを買っちゃったと後悔するんだけど、寅さんの口上を聞いて、面白いから、諦めようと」と語った。その上で「強いて言えば、古本。どういう本かと言うと、AIの利用の仕方、という本じゃないかな。寅さんだから、AIの中身なんか全部、インチキよ」と笑いつつ、予測した。ひとりも「時代が変わっても、猿の、チンパンジーのおもちゃみたいなのを売ってほしい。AI搭載とかスティーブ・ジョブズが作ったとか」と続いた。

さらに、山田監督には「山田監督のおかげで人生が豊かになりました。AIの出現を、どう考えていますか?」と質問が出た。同監督は「そんなこと、言っていただいて」と恐縮しつつ「1日に、何度も何度も考えますよね。僕たちは、幸せになるんだろうか? 幸せになる発明が生まれているだろうか?」と疑問を投げかけた。

さらに「僕のおやじが若い時、飛行機が飛んで、すごい、すごいとなった。北海道の友達は、線路が通って列車が走って来ると、学校を休んで線路脇で万歳した。科学技術の発明は100年前、おめでたくて、喜ばしいこと、すばらしいことだった」と自身の経験を紹介。その上で「AIは素晴らしい発明なんだけど、非常に不安に包まれている。もろ手を挙げて、誰も祝福しない。良い時代が来ると、誰も思わないけど、どんどん、どんどん状況は進んでいく。この先、どうなるかはAIにしか分からない、という不安の中にいる、僕もその1人」と持論を展開した。