「卵かけごはんにかける醤油」などで知られる、1818年(文政元)創業の熊本の浜田醤油が、香港の世界的な輸出企業リー・アンド・ファンと資本提携し、同企業のグループの一員として九州しょうゆの国外販売を開始する。8日、同社が発表した。

 創業家の次男で醤油マイスターの浜田浩成氏が、原料と醸造過程にこだわったプレミアム醤油「第七代」を新たに開発。完全受注生産の「540日熟成古法醸造醤油」と「古法醤油」「日本九州醤油」「日本極上醤油」3種を、今年から中国やオランダをはじめとした欧州で販売する。

 浜田醤油とリー・アンド・ファンは、16年3月に資本提携していたが、同4月に熊本地震が発生。しょうゆ醸造蔵が一部損壊するなどの被害を受け、実質的な活動が出来ないでいたが、地震発生から1年というタイミングで、世界に向けて始動することになった。

 販売網が世界に拡大することに伴い、しょうゆ醸造蔵を改修した生産工場を新たに建設する。その設計監修を、新国立競技場の設計を担当した、建設家の隈研吾氏(62)が務めることも決まった。関係者によると、しょうゆ醸造蔵には、しょうゆを作るのに必要な、こうじ菌がいまだに生きているという。

 手作りしょうゆの質をさらに高めるべく、希少なしょうゆ木樽を10基に増設し生産ラインをさらに強化する。さらに海外からの視察、観光客の増加を受けて、しょうゆ搾りや利きしょうゆ、試食、物販など、国内外の人が楽しめる体験型観光拠点も設けるという。【村上幸将】