神奈川県座間市のアパートで9人の切断遺体が見つかり、無職白石隆浩容疑者(27)が死体遺棄容疑で逮捕された事件で、被害者の更科日菜子さん(19=埼玉県所沢市)が通った実践女子大(東京)の関係者が取材に応じ、勉強熱心だった様子を語った。

 「大学での日菜子の扱いは今後、どうなるんですか」。更科さんの母親は9日、警視庁から身元判明の連絡を受けると、実践女子大側に報告後、そう聞いていた。大学側は「死亡除籍となる」と伝えると、母親は「除籍」という言葉にショックを受けていたという。大学側は単位や履修科目など、大学に所属していた記録は残ることを伝えた。母親は「いつ葬儀ができるかも分からない。大学にはご迷惑をお掛けしてすみません」と話したという。

 更科さんは9月15日から行方が分からなくなり、同19日、保護者から大学に連絡があった。前期が終わる7月末までは、通常通り授業に出席し、大学への入館記録も残っていた。

 更科さんは文学部国文学科に所属。事件発覚後、大学側が仲の良い友人に話を聞くと、12月に遊びに行く予定も話していた。深刻な悩みも聞こえてこなかった。履修科目では明治時代以降の小説を学び、樋口一葉、泉鏡花、谷崎潤一郎らの文学を読み解く授業を受けていた。平安時代の「くずし字」など、日本語の歴史にも興味を持っていた。

 国文学科の山内博之主任は「話を聞くと、更科さんには大学に居場所があった。『死にたい』と思っていたとは思えない。憤りを感じる」と声を詰まらせた。【三須一紀】