「半端ない」の次は「セクシー」だ! セネガル戦で1ゴール1アシストと活躍したFW乾貴士を称賛する言葉が、話題になっている。由来は、乾の母校野洲高(滋賀)サッカー部の代名詞「セクシーフットボール」。この言葉の名付け親、フリーサッカージャーナリストの安藤隆人氏(40)が25日、日刊スポーツの取材に応じ、命名のキッカケを語った。

 安藤氏が乾の存在を知ったのは05年1月、静岡県で開かれた大会。その試合で華麗なパス・ドリブルで相手の裏をかき、良い意味でいやらしい野洲高のプレースタイルに衝撃を受けたという。チームの中でも乾は別格の存在感。安藤氏は「当時の野洲には楠神順平(現J1清水エスパルス)など、うまい選手がそろっていた。乾がいて、他にも素晴らしいメンバーがいたからセクシーフットボールと名付けた」。

 もともとセクシーフットボールという言葉を生み出したのは、オランダの名選手ルート・フリット。英ニューカッスルの監督に就任した際、「美しいサッカースタイル」を目指すという意味で名付けたものだ。乾を擁する野洲は、まさにその言葉を体現したチームだった。

 野洲は翌年の全国高校選手権で優勝。当時2年だった乾も大活躍で、「セクシー」乾の名は全国に知れ渡った。ただその後、乾が活躍できない時期にも「セクシー」という言葉だけが独り歩き。「その言葉がネタのように扱われることが苦しかった。本人にも申し訳なく感じた」と安藤氏。

 だからこそセネガル戦での、乾の活躍は自分のことのようにうれしいという。「あの同点ゴールで彼は本当の意味で『セクシーフットボールの申し子』になった。今はこの名付け親であることが誇らしい。次のポーランド戦でも、彼らしく笑顔でプレーしてほしい」とエールを送った。