天皇陛下(59)は1日、皇太子から即位された。雅子さま(55)は皇后陛下として、新たな1歩を踏み出した。お住まいの赤坂御所から皇居まで車で移動する際、窓を開けて雅子さまスマイルをふりまいた。03年12月からの療養生活は約15年になるが、最近では活動の幅も広がりつつある。この日見せた笑顔や毅然(きぜん)とした表情は、皇后としての強い覚悟を感じさせた。93年6月のご結婚から、約26年。天皇陛下とともに、「令和流」の皇室を築いていく。

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前夜からの雨がやんだ1日午前10時40分すぎ。皇后さまは、天皇陛下が臨まれる「即位後朝見(ちょうけん)の儀」出席のため、お住まいの赤坂御所を車で出発、皇居に向かった。後部座席に白いローブデコルテ姿で座り、沿道からの声援に笑顔で手を振った。

頭上には、きらびやかなティアラが輝いた。数種類あるティアラのうち、歴代皇后に代々引き継がれてきた特別なもので、名実ともに皇后の証しだ。上皇后美智子さまから受け継ぎ、この日初めて身につけた。

「即位-」の儀式では、初めて天皇としてお言葉を述べる陛下を、そばで見守った。1度、赤坂御所に戻り、上皇ご夫妻へのあいさつで再び皇居に向かわれた際は、初めて天皇陛下とツーショットになった。ローブモンタントに着替え、陛下とともに、優しい笑顔で沿道に手を振った。

この日の全行事を終えて赤坂御所に戻る際は雨が降り始めたが、両陛下は往路と同様に窓を開けた。雨の中を待ち続けた沿道の人々に、何度も視線を向けた。

皇后さまは幼少期を海外で過ごしたキャリア外交官出身。キャリアウーマン出身の初の皇太子妃として、幅広い活動が期待される半面、「お世継ぎ」の男児を産むことへの強いプレッシャーにもさらされ続けた。

愛子さま出産後の03年12月から長期療養に。適応障害と診断され、一時は公務もままならなかった。公務と育児の両立に疲れた側面もあり、陛下が04年に「雅子の人格やキャリアを否定するような動きがあったのも事実」と、異例の発言をしたことも。そんな日々を支えたのが陛下だった。

皇后さまは結婚会見で、プロポーズの際の「雅子さんのことは僕が一生全力でお守りします」という言葉に、心打たれたことを明かした。さまざまな出来事を、「有言実行」の陛下と乗り越えた約26年だった。

ここ数年は、活動の幅も広がっている。医師団は「過剰な期待」をしないよう求めるが、この日の晴れやかな笑顔は、皇后として毅然(きぜん)とした覚悟も感じさせた。皇后さまは子どもの貧困や虐待、環境問題など国際的課題への関心も深い。外交官の経験を生かした新たな皇后像が築かれそうだ。今月下旬には、国賓として来日するトランプ米大統領夫妻を迎えることになる。【中山知子】