第161回芥川賞、直木賞の選考会が17日、都内で開かれ、芥川賞は今村夏子氏(39)の「むらさきのスカートの女」(小説トリッパー春号)、直木賞は大島真寿美氏(56)の「渦 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 魂結(たまむす)び」(文芸春秋)が受賞した。受賞決定後、2人が都内で会見を行った。

大島氏が手掛けた直木賞受賞作は、江戸時代に人形浄瑠璃の作者、近松半二が主人公の時代小説。名古屋市出身だが、大阪弁を使って作品を書き下ろした。大阪弁について「苦労はなかったです。何か書けちゃったんですね」と少し照れ笑い。「関西弁にし過ぎないように、バランスだけ注意した。あとは校閲の人が直してくださいますし」と淡々と話した。

92年にデビュー。これまで大きな賞に恵まれなかったについては「感じたことはない」。直木賞は2回目のノミネートで初受賞となった。「実感がない。今まで淡々と書いてきたので、これからも淡々と書いていきたい」と話した。

直木賞選考委員の1人、桐野夏生氏「大阪弁の語り口の軽妙さで、『渦-』に引き込まれていった。大島さんの実力が伺える作品です」と絶賛した。