全国高校選手権に18回出場した立正大淞南高(島根・松江市)サッカー部で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が生じている問題で10日、同校が公式サイトに「お詫び」を掲載した。前日9日に同部から88人(選手86人、教員2人)の陽性を確認。うち80人が生活していた専用寮は2人1部屋でトイレ、風呂が共用だった。同市は無症状の感染者を寮で療養とし、医療崩壊を防ぐ“緊急対応”を実施している。

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異例の規模となるクラスター発生から一夜明け、関係者は対応に追われた。立正大淞南高は公式サイトに「大きな集団感染を起こしてしまい(中略)多大なるご心配ご迷惑をお掛けする事態を招いてしまい、心より深くおわび申し上げます」と謝罪文を掲載した。

8日に陽性判定を受けた1人を含め、9日時点で計81人の部員がサッカー部の専用寮で共同生活。この日、松江市の担当者は「部屋は1部屋2人ずつ。中での生活状況は確認中ですが、トイレ、風呂は共用だった」と説明した。同部は先月下旬から今月上旬にかけて大阪、鳥取、香川へ遠征を実施。4日には島根大会を終えた野球部を握手や抱擁でねぎらう様子が、一時的に同校のブログに公開されていた。終業式が行われた7日は、市営補助競技場を使用。この日午前に競技場を閉鎖し、スタッフが約2時間の消毒作業を行ったが、感染拡大が懸念される。

島根県も予定外の対応に出た。同校で感染が判明した部員87人、教員2人のうち、9日時点で軽症の約40人が入院すると決定。普段の寮生で陰性となった部員は出雲市内の施設に移動した。無症状の感染者は寮で療養とし、同校に医師1人、看護師2人を派遣した。

県は同日時点で253の病床を確保。丸山達也知事(50)は9日の会見で「(残り)約210床が活用可能な状況。今後感染が拡大しても、対応できると考えている。(事前に)決めたことにこだわらず、医療崩壊を起こさない工夫をしながら、適切に実行したい」と口にしている。

同校は元サッカー日本代表の岡野雅行氏らを輩出した。松江市によると同校の生徒、教員は合計約350人。同校の全員をPCR検査の対象とし、残り約200人の検査を進めている。【松本航、星名希実】

 

◆サッカー部の活動

7月23~25日 大阪遠征

8月3~4日 鳥取遠征

4日 島根準優勝の野球部をマーチング、射撃部などと出迎えて握手や抱擁

4~6日 香川遠征

7日 終業式。松江市営補助競技場を使用

8日 サッカー部員1人がPCR検査で陽性判定

9日 サッカー部から88人(選手86人、教員2人)がPCR検査で陽性判定