大相撲初場所千秋楽で西前頭筆頭の大栄翔(27=追手風)が埼玉県出身力士として初となる優勝を果たした24日、出身地の朝霞市が沸いた。優勝の瞬間を見守った後援会の会員や地元住民、大栄翔が激励訪問を続けている介護老人保健施設の入所者からは、快挙への歓喜とその人柄への感謝の声が上がった。

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地元の後援会「大栄翔を励ます会」では、千秋楽に地元朝霞市の中華料理店に集まることが恒例となっている。この日は、午後3時から高西恵美子さん(58)や兄一直(かずなお)さん(30)ら家族や後援会の会員、住民らが集まり始め、取組前には15人がテレビの前で見守った。埼玉県出身の初の優勝力士を決めた瞬間には、総出で立ち上がり歓喜の声が上がった。

1月31日が誕生日で還暦を迎える榎本良典さん(59)は「決まった瞬間は涙ですよ。(来週還暦なので)最高の誕生日プレゼントになりましたよ」と喜んだ。

榎本さんは、大栄翔と同級生の娘を持ち、大栄翔の小学生時代の話を語った。「娘が小学校2年生の時の下校中に、ひき逃げにあったんですよ。勇人(大栄翔)と娘と一緒にいて、勇人がお母さんに連絡して、そこからうちのお母さんに連絡が来てね。勇人が言わなかったら分からなかったんですよ」と語った。「娘は遠慮して言わなかったから。けがもなかったし。勇人は小さいときから正義感があって、すごく感謝してる」と話した。

後援会の山崎幸治事務長によると、大栄翔の優勝を記念し、商工会と協議した上で、朝霞市の商店街で優勝セールなどを行う予定だという。「コロナ禍でどんよりしているなか、一緒に地元が盛り上がって行ければと思う」と話した。【沢田直人】

◆朝霞市 埼玉県南部、東京都練馬区との県境に位置する。人口約14万3000人。面積18・34平方キロメートル。67年の市制施行で町から市に。本田技術研究所や、陸上自衛隊朝霞駐屯地などで知られる。主な出身有名人に、故尾崎豊さんや田中みな実、魔裟斗らがいる。