東京・池袋の都道で19年に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡し、9人が重軽傷を負った事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪に問われ禁錮5年(求刑禁錮7年)の実刑判決を受けた、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)が、控訴期限の16日に控訴せず、実刑が確定した。遺族の松永拓也さん(35)は17日、会見を開き、亡くなった真菜さんと莉子ちゃんに「愛している」と呼び掛け、涙を流した。

事故発生から5日後の、2019年(平31)4月24日に最初の会見を開いてから2年5カ月、松永さんは署名活動や交通事故撲滅活動と並行し、会見を開いてきた。20年10月8日の初公判からは、公判のたびに会見を開いた。この日、松永さんは「たくさん記者会見はしてきましたが、これが最後になると思う」と口にした上で、真菜さんと莉子ちゃんへの思いを訴えた。

「心から愛してるよ、1つでも交通事故を減らしたよと伝えたい。争いじゃなく、2人が愛してくれた僕に戻って生きていきたい」

真菜さんの父の上原義教さん(64)は「悔しさは、ずっと、ずっとあると思う。心からあなたの娘さん、お孫さんを殺してしまって、ごめんなさいと謝ってくれるかと思ったが…本当に反省しているのかな? と思う」と涙ながらに訴えた。