山口県北部の阿武町(あぶちょう)が4630万円を誤って振り込み、無職田口翔容疑者(24)が逮捕された事件で、容疑者が町の対応に不満を述べていたことについて、町側は26日、出金したことなどへの「動機とは思えない」と疑問を呈した。

町は、誤振り込みに気付いた4月8日に、容疑者宅を訪問し謝罪して返還を求めた。容疑者はいったんは同意し宇部市の取引銀行まで移動したが一転手続きを拒否。中野貴夫副町長によると、4月14日に勤務先の萩市内のホームセンターに説得に行っていた母親から連絡があったため、副町長と職員も訪問。勤務先に断って容疑者と町側2人で面会し返還を求めた。容疑者は役場の非を訴え、弁護士と話すの一点張りだったという。

4月21日に町が自宅を訪問して会えた際には、容疑者は「金はすでに動かし、元に戻せない」「罪は償います」などと話した。また、14日に町が急に勤務先に来たことなどに言及し「許せなかった」「打撃を与えてやろうと思った部分もあった」などの趣旨の不満も語ったという。

副町長は「その時点(4月14日)で初めて使ったというのなら分かりますが、既に2000万円以上が使われたあとのことで、対応への不満が動機とは思えないです」と疑問を呈した。

容疑者の口座の記録では、容疑者は誤振り込み当日の4月8日から出金を始め、勤務先での面会前日の4月13日時点で計約2200万円を出金していた。その後も出金を続け、最終的には4月18日(19日付)までに34回にわたり、計4633万1922円を決済代行会社3社とデビット決済に出金した。逮捕前には「オンラインカジノで全部使った」などと話していたという。