将棋の最年少5冠、藤井聡太王将(竜王・王位・叡王・棋聖=20)が羽生善治九段(52)の挑戦を受ける、第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第3局が28日、金沢市の「金沢東急ホテル」で始まった。第1局を藤井、第2局を羽生が制し、1勝1敗のタイで迎える「金沢決戦」。初防衛、5冠堅持を目指す藤井がリードを奪うのか。前人未到のタイトル獲得通算100期を狙う羽生が連勝するのか。世代を超えたスターが初めてタイトルを争う歴史的な一戦を迎えた。

午前8時48分、黒の羽織を着用した羽生が入室。その後、水色の羽織を着用した藤井が対局場に登場した。金沢市内は雪が降っており、対局場の窓の外は雪景色が広がる。

午前9時、立会人の島明九段(59)が定刻になったことを告げると、お互いに深々と一礼し、対局を始めた。先手の藤井はいつものようにお茶を一口飲む「初手お茶」で心を整えてから飛車先の歩を突いた。羽生は一呼吸置き、角道を開けた。戦型は雁木(がんぎ)に決まった。

第1局は、藤井が一直線の攻めで熱戦を制し、第2局は羽生が渾身(こんしん)の研究手で逆襲の1勝を挙げた。両者の過去の対戦成績は藤井の8勝2敗。

対局は持ち時間は各8時間の2日制。1日目は夕方に封じ手をする。2日目は29日午前9時に再開する。