高市早苗経済安全保障担当相は28日の参院予算委員会で、放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書をめぐり、質問を拒むような自身の答弁(その後撤回)を引き出した立憲民主党の杉尾秀哉氏と、再び質疑で“対決”した。

杉尾氏は「(15日の同委員会で高市氏は)私に『信用できないなら質問するな』と言い、その後も時間稼ぎの答弁があった。そもそもことの発端は、いちばん最初に(高市氏が)『怪文書だ』と切って捨てたのが始まりだ。しかし怪文書ではなく行政文書だった。その責任をどう考えるつもりか」と指摘した。

高市氏は「怪文書といった記憶はない」と反論したが、報道陣とのぶら下がり取材で「怪文書のたぐいだ」と発言していたことをその後、認めた。その上で「事実と異なる内容を入れられているということは、怪文書のたぐいだ。作成者、配布先、作成目的も不明、これはいわば怪文書のたぐいであると考えたらそう思う」と、主張。「ただ国会の答弁では偽造でも変造でもなく捏造(ねつぞう)文書と、かなり配慮をして申し上げたつもりだ」と釈明した。

杉尾氏は「(一連の)問題はそこから始まっている、予算委の質疑だけでなく、総務省がどれだけこの調査に膨大な時間をかけたか。責任を感じていないのか」と述べ「『質問するな』といわれた当人として、はっきり申し上げる。辞めてください。大臣をお辞めください」と、高市氏に辞任を迫った。

これに対し、高市氏は「杉尾委員に言われて、私はなんらやましいことはないのに、大臣の職を辞するということはございません」と素っ気なく答え、自民党席からも「そうだ」と、高市氏に同調する声が上がった。

衆参両院で続いてきた予算委員会は、28日午後に2023年度予算案が可決、成立する見通しであることから、今後は開催の回数がぐっと減る。行政文書問題での野党の高市氏への追及機会も減るだけに、一時はこの問題で追い詰められ、進退論まで出ていた高市氏にはリセットの機会となるため、“逃げ切り”を指摘する声も出ている。

しかし杉尾氏は「(行政文書の問題追及は)今回で終わりではない。ずっと続きます」と、追及を続ける考えを示した。