元テレビ朝日社員の玉川徹氏は16日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に出演し、各地で出没し人的被害をもたらしているクマの捕獲や駆除をめぐり、自治体に苦情や抗議が相次いでいる現象に、強い疑問を呈した。「(抗議が)あまりにも悪質なものに関しては、警察を含めて法的に対応すべきと思う」と、持論も示した。

環境省のデータでは、10月に発生したクマによる人的被害件数は71人で、2006年以降過去最多。4月から10月の間では、全国で死者5人を含む180人にのぼっている。各自治体から依頼された猟友会などが身の危険と隣り合わせの中で対応する中、全国の自治体には「クマを殺すな」など、駆除への反発が急増。番組では、新潟県の自治体に「殺処分するな」「素手で対応しろ」などの声が寄せられ、業務が妨げられているケースがあると紹介された。

玉川氏は「動物の命が大事なのはその通りと思う」とした上で「物事には優先順位がある。いちばん高いのは人間の命であり身体。その次が人々の生活で、動物の命はその次だと思うんですよ」と私見を述べた。 その上で「(自治体に)電話をかけてきている人は、優先順位が見えなくなっているのではないか。あまりにも自分とは関係ないところで起きていることで、ただ動物の命が大事というふうにだけ言うことは(本質が)見えなくなっていると思う。あまりにも悪質なもの(苦情電話)は、警察を含め法的に対応すべきと思う」「実際に業務が妨害されている」と指摘した。 木曜コメンテーターの結城東輝弁護士が「悪質な事例は威力業務妨害に問われる可能性は十分あると思う。それをしっかり認識した上でやっていただかないといけない」と見解を示すと、玉川氏は「実際に業務が妨害されているのは事実。自治体も警察にちゃんと相談し、警察の協力を得てきっちり取り締まられるのは必要と思う」と指摘した。

クマの捕獲に関し、自治体に抗議の電話などが相次いでいることをめぐっては、伊藤信太郎環境相が14日の会見で「状況に応じた捕殺は必要」とした上で「ハンターのみなさまには、人身被害防止のため真摯(しんし)に取り組んでいただいている」と述べ、理解を求めている。