<桜花賞>◇13日=阪神◇G1◇芝1600メートル◇3歳牝◇出走18頭◇5着までにオークス優先出走権

数字だけではわからないことが競馬にはあります。前後半800メートルずつのラップは46秒6-46秒5。まったくのイーブンでしたが、前半のラップはハナを切ったエリカエクスプレスが刻んだ数字です。2番手以降はもう少し遅く、そこで頭を上げたり、ごちゃついたり、馬場も緩い中で少しの消耗の積み重ねが、最後の脚に響いてくるのです。ましてキャリアの浅い3歳牝馬同士です。数字上は前がばったりというペースではないにもかかわらず、先行馬総崩れになったのは、そういう面もありました。

中団につけたエンブロイダリー(左から2頭目)(撮影・和賀正仁)
中団につけたエンブロイダリー(左から2頭目)(撮影・和賀正仁)

エンブロイダリーは少しゲートに心配があり、今回もちょっと遅めでした。ですが、テンのペースがさほど速くないのもあり、スッと中団につけられて、アルマヴェローチェのすぐ内で折り合いました。高松宮記念のサトノレーヴもそうでしたが、モレイラ騎手が前半の消耗を最小限に抑え、かつ馬も指示に従えるセンスがありました。栗東滞在の効果か、馬が落ち着いていたのもよかったです。

桜花賞、直線抜け出すエンブロイダリー(中央)(撮影・和賀正仁)
桜花賞、直線抜け出すエンブロイダリー(中央)(撮影・和賀正仁)

4コーナーでは、アルマが外へ行ったのに対し、内の進路を選択。馬群を割って、再びアルマの内に馬体を併せました。最後は首差ですから、あの進路選択と、ひいては枠順も大きな勝因となりました。やや重の1分33秒1はかなり速いです。馬場が改善されているのは当然ですが、良だった19年グランアレグリアの1分32秒7、22年スターズオンアースの1分32秒9と遜色ない時計ですから、この馬の能力も相当でしょう。

直線抜け出して桜花賞を制したエンブロイダリー(撮影・白石智彦)
直線抜け出して桜花賞を制したエンブロイダリー(撮影・白石智彦)

2着アルマは岩田望騎手が完璧にエスコートしました。+12キロもほぼ成長分。枠の差と、しいて言えば良馬場の方がもっと持ち味を出せたかなと思います。

3着リンクスティップはあの位置からよくきました。初マイルとはいえ、18頭立ての最後方はさすがに厳しかったですね。アルマとともにオークスは中心でしょう。1番人気エリカエクスプレスは5着。フェアリーSのラップからすると、ペースで負けたわけではないでしょう。緩い馬場なのか、敗因は他にあると思います。(JRA元調教師)

エンブロイダリーで桜花賞を制してファンの声援にガッツポーズするモレイラ騎手(撮影・白石智彦)
エンブロイダリーで桜花賞を制してファンの声援にガッツポーズするモレイラ騎手(撮影・白石智彦)