欧米と日本の競馬シーズンも折り返し点を過ぎました。ここまでの種牡馬の勢力図はどうなっているのかと、欧州と北米、それにJRAの種牡馬ランキング(8月5日現在)を確認してみました。

世界の種牡馬リーディングを眺めると、当然ながら、その多くは納得の馬たちに占められています。欧州は英2000ギニー馬のノータブルスピーチや英オークス優勝のエゼリヤを送るドバウィと、クイーンアンSを制したチャーリンを稼ぎ頭に産駒が手堅い成績を残すダークエンジェルの2頭が好調、北米は相変わらずイントゥミスチーフとその直子が強く、日本はキズナ、ロードカナロア、エピファネイアの産駒がしのぎを削っています。

ランキングを眺めていて気がついたことがありました。それは日本と欧州、北米のトップサイアーの勝ち上がり率〈勝馬率〉(勝ち馬頭数÷出走頭数)がずいぶん違うことです。

日本ではトップ10入りしている種牡馬のほとんどが勝ち上がり率〈勝馬率〉2割台なのに対して、北米ではベスト10に入ったすべての馬が3割を超えていて、欧州のトップサイアーもほとんどが3割を上回っています。

リーディングの上位に並ぶには産駒の質(賞金の高いブラックタイプ以上の勝ち馬)と量(勝ち馬の数)を兼ね備えていなければなりませんが、日本は“質”の比重がより高くなっていることがわかります。

秋競馬を控えて欧州ではシティオブトロイを擁するジャスティファイ、ルックドヴェガの父のロペドヴェガなどが順位を上げる可能性があり、米国では3歳馬のトップに立つドーノックの父のグッドマジック(現在12位)や、7月のG2ジムダンディーSで復活ののろしを挙げて、秋に巻き返しが予想されるフィアースネスを擁するシティオブライト(同26位)などの新鋭がトップ10入りを狙っています。日本では首位キズナが2位のロードカナロアに約2億8000万円の差をつけていますが、まだセーフティーリードとは言えないかもしれませんね。

【欧州種牡馬】産駒収得賞金(単位・万ポンド)、勝馬頭数/出走頭数、勝馬率

1位ドバウィ(父ドバイミレニアム)319、43/112、38・4%

2位ダークエンジェル(父アクラメーション)310、70/225、31・1%

3位キングマン(父インヴィンシブルスピリット)262、71/176、40・3%

4位キャメロット(父モンジュー)251、27/95、28・4%

5位シーザスターズ(父ケープクロス)246、53/150、35・3%

6位ガリレオ(父サドラーズウェルズ)232、35/96、36・5%

7位ジャスティファイ(父スキャットダディ)220、8/24、33・3%

8位ブルーポイント(父シャマーダル)210、43/125、34・4%

9位フランケル(父ガリレオ)200、55/124、44・4%

10位ロペデヴェガ(父シャマーダル)195、63/171 36・8%

【北米種牡馬】産駒収得賞金(単位・万ドル)、勝馬頭数/出走頭数、勝馬率

1位イントゥミスチーフ(父ハーランズホリデー)2253、174/383、45・4%

2位マインシャフト(父エーピーインディ)1441、54/95、56・8%

3位ガンランナー(父キャンディライド)1213、84/204、41・2%

4位クオリティロード(父エラシヴクオリティ)1034、76/205、37・1%

5位ジャスティファイ(父スキャットダディ)965、65/190、34・2%

6位ゴールデンセンツ(父イントゥミスチーフ)954、129/321、40・2%

7位コンスティテューション(父タピット)921、86/253、34・0%

8位アンクルモー(父インディアンチャーリー)825、100/250、40・0%

9位カーリン(父スマートストライク)819、83/196、42・3%

10位プラクティカルジョーク(父イントゥミスチーフ)791、97/259、37・5%

【JRA種牡馬】産駒収得賞金(億円)、勝馬頭数/出走頭数、勝馬率

1位キズナ(父ディープインパクト)26・9、95/283、33・6%

2位ロードカナロア(父キングカメハメハ)24・1、81/287、28・2%

3位エピファネイア(父シンボリクリスエス)22・7、52/245、21・2%

4位ハービンジャー(父ダンシリ)13・1、38/158、24・1%

5位ドゥラメンテ(父キングカメハメハ)12・9、58/225、25・8%

6位ルーラーシップ(父キングカメハメハ)12・2、47/194、24・2%

7位ドレフォン(父ジオポンティ)11・6、44/196、22・4%

8位モーリス(父スクリーンヒーロー)11・1、49/213、23・0%

9位ディープインパクト(父サンデーサイレンス)10・1、17/124、13・7%

10位キタサンブラック(父ブラックタイド)10・0、42/123、34・1%

さて、最後にランキングとは別の話になりますが、筆者が注目する外国種牡馬を挙げておきたいと思います。頭の片隅に残しておいてください。

ファー(父ピヴォタル)…自身は芝のマイルと中距離でG1勝ち。産駒は2頭がG1勝ち、ディーエクスビーは英ダービーで2着しています。日本ではラジオNIKKEI賞を制したオフトレイルの登場で脚光を浴びました。芝の中長距離で実力発揮のタイプ。これから輸入される産駒にも注目です。

トゥーダーンホット(父ドバウィ)…オーストラリアの新種牡馬チャンピオンに輝いたように2歳競馬向きを証明しました。日本でも初年度産駒のエトヴプレがG2フィリーズレビューを逃げ切っています。新馬から狙えそうです。

ランハッピー(父スーパーセイヴァー)…ブリーダーズカップスプリントを制した韋駄天(いだてん)。ダートの短距離戦はもちろん、マイルから中距離までを活躍の場としています。重馬場はプラス材料。人気薄でも狙ってみたい。

シユーニ(父ピヴォタル)…凱旋門賞馬ソットサスや名マイラーのパディントンなどを送る大物。日本ではシンエンペラーの父として知られています。本領発揮はマイルから中長距離でしょうが、ヴィズサクセスのように短距離得意の産駒も出ています。第二のシンエンペラーの登場もあるかもしれませんね。(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは2024年8月6日現在